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NIHのプレスリリースから
レムデシビルのRCT、米国では回復が早まる
患者1063人の中間解析で、死亡率に差はないが回復が4日早い

 米国立衛生研究所(NIH)は、2020年4月29日、NIH傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の後援を受けて、主に米国で行われているレムデシビルに関する二重盲検のランダム化比較試験Adaptive COVID-19 Treatment Trial(ACTT)の予備的な解析で好結果が得られたと発表した。プラセボ群に比べレムデシビル群では、投与開始から臨床的改善までの期間が31%短かったという。
 
 レムデシビルは米Gilead Sciences社によって開発された、広域スペクトルを持つ抗ウイルス薬だ。エボラウイルス病を対象とする開発が臨床試験の段階まで進んでいた核酸アナログ製剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを阻害する作用を持つが、これまではどの国でも承認されていなかった。

 最大で100施設が参加予定のACTTでは、COVID-19に関する理解が進むにつれて患者に対する標準的な管理が向上すると予想されるため、有効性と安全性の評価は、同時期に登録された患者集団を対象に行う計画になっている。また、この試験は適応的デザイン(Adaptive design)、すなわち、得られたデータに基づき試験の途中でデザインの一部を変更できる設計となっており、データ安全性モニタリング委員会は、監視を怠らず、試験設計の変更や、有効性、安全性、無益性に基づく早期中止を勧告することになっている。実際に、2月20日に設定された主要評価項目と副次的評価項目には変更が加えられ、4月16日に現在のものとなった。

 ACTTは2020年2月21日に始まったが、試験完了予定日は2023年4月1日となっている。ACTTの組み入れ条件は、COVID-19を示唆する症状があって入院した18歳以上99歳以下の男女で、ランダム割り付け前の72時間以内にSARS-CoV-2に対するPCR検査で陽性、または72時間以上前に陽性判定を受けており、それ以降は検査はできなかったが、症状が進行してSARS-COV-2感染症であることが示唆された患者で、以下の症状が1つ以上認められる人とした。放射線学的(胸部X線検査またはCT検査など)に肺に浸潤が認められる、または、室内気下でSpO2が94%以下、または酸素療法や機械的換気が必要。感染確定例だが、軽症で風邪のような症状のみの患者や、無症状の患者は登録されない。

 条件を満たした患者を1対1の割合で、レムデシビルまたはプラセボに割り付けた。レムデシビル群には、初日に200mgを静脈内投与し、翌日から入院期間中、または最長で10日目まで100mg/日を静注した。

 主要評価項目は、割り付けから回復(退院または通常の活動レベルに戻るに十分な状態)までの時間に設定し、29日後まで追跡した。以下のいずれかに該当した日を回復した日とした。入院しているが酸素療法は不要で治療も不要、退院したが活動制限があるか在宅酸素療法が必要、もしくは退院し活動制限なし。副次評価項目は、8ポイント制のスケールを用いて15日時点で評価した治療関連の改善などに設定した。

 この試験を監督している独立データ安全性モニタリング委員会(DSMB)が4月27日にデータを審査し、中間解析結果を臨床試験に携わる人々と共有した。このときの審査に基づいて、主要評価項目である回復までの時間においてレムデシビルはプラセボより優れていると判断した。

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