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Lancet誌から
レムデシビルのRCT、武漢では有意差示せず
武漢の流行が収束したため、試験参加者が少なく検出力不足に

 中国National Clinical Research Center for Respiratory DiseasesのYeming Wang氏らは、武漢市の10病院に入院した成人のCOVID-19確定例に、レムデシビルまたはプラセボを投与する二重盲検のランダム化比較試験(RCT)を行い、いくつかの評価指標についてレムデシビルの有意な利益を示せなかったと報告した。結果はLancet誌電子版に2020年4月29日に掲載された。

 レムデシビル(GS-5734)は、核酸アナログのプロドラッグで、ウイルスのRNAポリメラーゼを阻害する。in vitroでSARS-CoV-2に作用することが示され、動物モデルでもこのウイルスの複製を阻害することが明らかになっていた。

 そこで著者らは、中国湖北省武漢市の10病院で、18歳以上の男性と妊娠していない女性で、SARS-CoV-2感染が確定し入院したCOVID-19患者を対象に、二重盲検のRCTを計画した。組み入れ条件は、発症からの日数が12日以内で、室内気下のSpO2が94%以下、あるいはPao2/Fio2が300mmHg以下で、胸部画像で肺炎が確認された患者とした。妊娠可能年齢の患者には、男女とも試験期間中に避妊法を実施してもらうことにした。

 組み入れ除外基準は、妊婦や授乳中の女性、肝硬変、ASTやALTが基準範囲上限の5倍以上、重度の腎機能障害、血液透析や腹膜透析患者、スクリーニング前の30日間に他の研究的治療薬を用いる試験に参加した人などとした。

 条件を満たした患者は、2対1の割合でレムデシビル静注(1日目は200mg、2日目から10日目までは100mgを1日1回投与)、またはプラセボを10日間静注に割り付けた。層別化は呼吸器症状の重症度(機械的換気の使用など)で2段階に分けた。その他の薬では、ロピナビル-リトナビル、インターフェロン、コルチコステロイドの併用を許可した。1日1回の患者の状態評価を28日後まで継続した。

 主要評価項目は、28日以内の臨床的な改善に設定した。6ポイントからなる順序尺度で2段階以上変化した場合を改善とした。6は死亡、5はECMOまたは機械的換気を受けた状態での入院、4は非侵襲的換気または高流量酸素療法を受けた状態での入院、3はより軽度の酸素療法を受けた状態での入院、2は酸素療法無しでの入院、1は退院または退院の基準を満たした状態と規定した。ベースラインから2段階以上の改善を示した日、または生存退院した日のいずれか早いほうまでの日数を比較した。

 副次評価項目は、割り付けから7日目、14日目、28日目に行った順序尺度を用いた評価で、それぞれのカテゴリーに分類された患者の割合や、28日後までの総死亡、侵襲的換気を受けた患者の割合、酸素療法の継続期間、入院期間、院内感染を発症した患者の割合などに設定。ウイルス学的指標は、PCR陽性患者の割合とPCR検査により明らかになったウイルス量とし、安全性の評価指標は、治療下で発現した有害事象、重篤な有害事象、早期の治療中止とした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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