日経メディカルのロゴ画像

寄稿◎最前線の医療者を支え、デジタル活用でつながりを紡ぐ
COVID-19の“在る”世界で緩和ケアができること

 2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のニュースとともに明けた。

 2019年11月に中国で報告されたその感染症は、瞬く間に世界に広がり、多くの感染者と死者を出した。日本国内でも、4月に緊急事態宣言が発令され、外出や経済活動の自粛が求められた。多くのイベントや集会も中止となり、街からは人が消え、自宅で引きこもることが増えた。

 病院は、COVID-19に対応する最前線となった。これまで私たちが日々構築してきた医療体制はあれよあれよという間に、対COVID-19用の第一種戦闘配置に再構築され、感染した患者の命を守ることを最優先にしながら、病院内に感染を広めないよう細心の注意を払ってきた。

 この状況の中で、私たちが取り組む緩和ケアも、その役割の変換を求められた。外部から感染を持ち込ませないために、これまで自由だった家族の面会は禁止となり、緩和ケアチームが患者の面談に行くことも制限され、多職種から多様な意見を出し合って患者・家族を多角的に見るためのカンファレンスも「三密」の名の下に中止されるところが出てきている。病状が悪化して患者が入院するときに、「これが顔を合わせて家族と声を交わせる最後の機会になるんでしょうか」と訴える方もいた。

 しかし「病院では面会制限があるから」と、非感染性疾患の患者が自宅に帰って家族とともに過ごすことを望んだ場合、そこにもCOVID-19は影を落とす。要介護認定の手続きの進行は元々早くなかった上に、「認定員が感染予防の観点から動けない」といった理由でさらに遅れている。また訪問診療や訪問看護、ヘルパー事業所も活動を縮小する中で、医療・福祉から切り離された在宅医療という状況も発生している。

 これまでの緩和ケアは、COVID-19によってその機能の大半を奪われた。人と人とのつながりを重視し、関係性の力を最大限に発揮して「その人らしい人生」を全うできるように工夫してきた緩和ケアは、COVID-19が振るう大鉈によってそのつながりを分断されたのだ。

この記事を読んでいる人におすすめ