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JAMA Intern Medicine誌から
社会的隔離状態にある高齢者の注意点
かかりつけ医がチェックしたい日常生活の変化

 COVID-19対策として外出を自粛する生活が、地域在住の高齢者の身体的、精神的な健康に大きな影響を及ぼしている。米国California大学San Francisco校のMichael A. Steinman氏らは、そうした高齢者の医療ニーズに応えるために、臨床医が果たせる役割について考察し、JAMA Intern Medicine誌電子版に2020年4月16日に発表した。

 社会的隔離の影響が大きく現れるのは、フレイルな状態の、年齢が非常に高い、または、慢性疾患を複数有する高齢者だ。そうした人々が万一COVID-19を発症すれば死亡するリスクが高いが、平常時でも、急性疾患や慢性疾患による死亡リスクは決して低くない。著者らは、社会的隔離が市中在住の高齢者の健康に及ぼす悪影響に着いて記述し、そうした影響を和らげるために臨床医がとるべき行動について述べている。

 社会的な隔離は、孤独感や抑鬱を引き起こすと予想されるが、それは氷山の一角にすぎない。大半の高齢者は、日常生活の変化が健康に及ぼす影響は大きい。例えば、自由に外出できないために食事の内容が変化すると、心不全が悪化する可能性がある。自宅にこもっていることによる運動不足は、体調を狂わせるだけでなく、筋力低下や転倒を引き起こすだろう。社会参加の機会が無くなり、刺激が減るため、認知症の悪化も起こり得る。高齢者は新たな環境に適応する能力が低いため、社会的隔離による健康状態の悪化は、短期間のうちに生じると考えられる。

 社会的隔離によって、高齢者がそれまで頼りにしていた公的および私的な支援を受けづらくなっている。家族でさえ、ひとり暮らしの高齢者を訪ねることが難しくなる。ボランティアによる食品の購入の支援が一部で行われていることは心強いが、掃除や入浴などの基本的な生活にも助けを必要とする人々や、認知症患者に対する支援には手が回らないだろう。

 さらに、医療機関を受診するとSARS-CoV-2に感染するのではないかという恐れが、健康状態が悪化した高齢者の受診を減らしている可能性がある。遠隔診療という選択肢もあるが、ビデオ通話はおろか、電話であっても、難聴や、認知機能障害がある高齢者にとってはハードルが高い。ビデオ通話のような技術は、高齢者向けに開発されておらず、高齢者にやさしい技術になっているかどうかも評価されていない。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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