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寄稿◎循環器内科クリニックの現場から
不安抱える患者・家族が急増、私たちはどうする

2020/04/27
鬼倉基之(鬼倉循環器内科クリニック[千葉県八千代市]院長)

おにくら もとゆき氏○2001年福岡大学医学部卒業、駿河台日本大学病院、東京臨海病院、日本大学病院にて勤務。2013年に祖父の代から続く診療所を承継し、鬼倉循環器内科クリニックを開設。千葉県八千代市医師会・健康危機管理対策担当理事。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が国内で問題になってから数カ月が経とうとしています。診療所の循環器内科医として、また千葉県八千代市医師会の健康危機管理対策担当理事という立場から、私もこの問題に対応してきました。本稿では、COVID-19がかかりつけ患者に及ぼしている影響などを踏まえ、プライマリ・ケア医である私たちが何ができるのか、考えていきたいと思います。

 現在、小児科や内科クリニックをはじめとした医療機関では、患者数が著しく減少しています。原因として、少しでも感染のリスクを下げるために医療機関で他の患者との接触を避けたいという考えがあるのでしょう。それは大いに理解できます。

 しかし、ウイルスの脅威におびえるあまり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の存在をないがしろにしてしまうケースが非常に多いと感じています。生活習慣病の患者が受診をやめると、多くの場合、疾患のコントロールが不良になります。ましてや「家での自粛生活」を余儀なくされている今の状況は、生活習慣病のことを考えれば非常に悪い環境です。生活習慣病のコントロールが不良になってしまった患者がもし、COVID-19などの感染症に罹患すれば、重篤化するリスクが高まります。患者の「命を守りたい」という行動が、矛盾した結果になる恐れもあるということを、私たちはしっかり伝えるべきでしょう。

 テレビなどの報道も、不安をあおる内容が多いのが現状です。その方が視聴率を稼げるのですから当然とはいえ、「日に日に感染者数が増加していること」や「院内感染が生じていること」ばかりを報じているために、患者の不安がより強くなっています。単に感染者数が増えていることを報じるのではなく、その背景にはPCR検査が実施されている件数も増えていること、院内感染にしても「きちんと検査をしているから判明しているのだし、ほとんどの医療機関では発生していない」ということを併せて報じてもらいたいと思います。もちろん、報道内容を批判するだけでなく、私たちがこうした冷静な視点からの意見を発信していくことが重要だと考えています。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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