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Lancet誌から
COVID-19流行中の癌治療をどうするか?
フランスが作成したガイドライン

 フランス保健省の要請に基づいて、フランス公衆衛生評議会(HCSP)は、国内の腫瘍内科医と放射線腫瘍医の代表者からなるグループに、癌患者をSARS-CoV-2感染から守るためのガイドラインの作製を依頼した。ガイドラインは2020年3月10日に完成し、3月14日に採用が決まって、HCSPにより同日公開された。専門家グループのメンバーであるClaude Bernard Lyon 1大学のBenoit You氏らは、ガイドライン作成の経緯とその内容をLancet誌2020年3月25日にCOMMENTとして報告した。

 ガイドラインが作製された理由は、癌患者はSARS-CoV-2感染に関係する呼吸器合併症のリスクが高いことが示されており、インフルエンザを例とすると、癌患者の発症リスクは高く、発症すると呼吸窮迫により入院するリスクが一般のインフルエンザ患者の4倍で、死亡のリスクは10倍にもなることを示唆したデータがあるからだ。悪化しやすい理由は、癌治療により好中球とリンパ球が減少しているためと考えられている。

 癌患者のCOVID-19リスクは、Lancet Oncology誌にWenhua Liang氏らが投稿した、中国の状況に関するコメントに示されている。ここでは、癌患者のSARS-CoV-2感染リスクは一般集団より高いこと、ICU入院を含む重症イベントを経験する患者の割合も高いことが示されていた。リスクが特に高かったのは、COVID-19発症前1カ月間に化学療法または外科治療を受けた癌患者だった。また、癌患者では重症化するまでの期間も短かった。

 以下のガイドラインは、成人の固形癌患者のみを対象としており、フランスで一般の人々に適用されている標準的なルールを補完するものとして作成されている。

 基本的なCOVID-19予防策は癌治療部門でも実行できる。重要なのは、癌患者自身と腫瘍内科および放射線腫瘍科のスタッフが、COVID-19患者との接触を可能な限り避けることだ。腫瘍内科と放射線腫瘍科はCOVID-19フリーでなければならない。万一、腫瘍内科または放射線腫瘍科に入院している患者がSARS-CoV-2陽性と判明した場合には、すみやかに隔離し、COVID-19専門病棟に移さなければならない。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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