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Travel Medicine誌から
クルーズ船のCOVID-19感染数理モデル
検疫は有効だったが早期に全員下船可能ならさらに患者は減らせた

 2020年2月3日、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で、乗客10人がCOVID-19を発症したと報告され、2月20日までに、乗員乗客3700人中619人がSARS-CoV-2陽性になった。スウェーデンUmea大学のJ Rocklov氏らは、公表されたデータに基づいて感染症流行数理モデルを構築し、介入なしに全員を船内に留めた場合と、2月3日時点で全員を船から退避させた場合の、2月19日までの感染者数を推定した。結果はTravel Medicine誌電子版に2020年2月28日に報告された。

 SARS-CoV-2感染者は2019年12月に中国の武漢市に現れてから、瞬く間に中国全土へ、そして世界各国に感染が広がった。SARS-CoV-2は主に飛沫感染すると考えられている。中国CDCがまとめたCOVID-19患者7万2314人のデータでは、感染源となった患者の発症から2次感染者の発症までを意味する発症間隔(serial interval)の平均は7.5日(95%信頼区間5.3-19日)で、基本再生産数(R0)は2.2(1.4-3.9)と推定されていたが、現在では3を超えるのではないかと考えられている。

 ダイヤモンド・プリンセス号では、2月3日にCOVID-19患者が10人見つかったという報告を受けて、2月4日から発症した乗客を日本国内の病院に隔離し、症状のない患者を検疫する対策が開始された。船に留め置かれた乗客は2月5日から14日間、船室に留まるよう指示され、船室から出られるのは1日に1時間程度とされた。その後、PCR検査で陽性になった患者は船から降ろし、日本国内の病院に隔離した。それでも感染者は爆発的に増え、2月19日までに乗員乗客3700人中619人(17%)が感染陽性となった。2月20日、船に残っていた3000人を超える人々を下船させることが決まった。日本以外の国籍の乗客は空路で帰国した。2月24日には2人の患者の死亡が公表された。

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