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Lancet誌から
ICUに入院した重篤なCOVID-19患者52人の特徴
併存疾患のある高齢者やARDSを発症した患者は死亡率が高い

 COVID-19の臨床症状は、軽症や無症状から生命に関わる重篤なものまで幅広い。中国武漢市の仁安醫院のXiaobo Yang氏らは、ICUに入院した重篤な患者52人について、その後28日間の経過とアウトカム、適用された治療などについて後ろ向きに分析し、死亡者と生存者の特性を比較してLancet誌電子版2020年2月21日に報告した。

 分析の対象は、2019年12月24日から2020年1月26日までにCOVID-19と確定診断され入院した710人のうち、ICUでの治療が必要になった重篤な肺炎の成人患者で、28日後までの追跡を完了した52人(7%)。重篤の定義は、機械的換気が必要な患者、または吸入気酸素濃度(FIO2)60%以上が必要だった患者とした。患者は全員が武漢市在住で、他の医療施設から仁安醫院に搬送されてきた。なお、搬送中または病院到着後まもなく心停止を起こした3人の患者は分析から除外した。

 条件を満たした52人の人口統計学的情報、症状、検査値、併存疾患、適用された治療、臨床アウトカムを収集、生存者と死亡者の特徴比較を行った。

 主要評価項目は、ICU入院から28日後までの死亡率に設定し、2020年2月9日まで追跡した。副次評価項目は、SARS-CoV-2関連の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発生率と、機械的換気を必要とした患者の割合に設定した。

 52人の平均年齢は59.7歳(SDは13.3歳)で、27人(52%)が60歳超、35人(67%)が男性だった。17人(33%)は武漢市の海鮮市場の暴露歴があり、10人(19%)はSARS-CoV-2感染確定例または高度疑い例との接触歴をもっていた。21人(40%)は慢性疾患があり、このうち脳血管疾患があった7人(13.5%)は全員が死亡した。胸部X線検査では、52人全員の両肺野に浸潤影が見られた。

 最も多く見られた症状は発熱で51人(98%)に認められた。続いて咳(77%)、呼吸困難(63.5%)、疲労感(35%)が多かった。52人のうち6人(11%)は、発症から2~8日後になるまで発熱は見られなかった。

 症状の発症からX線画像に基づく肺炎の診断までに要した日数の中央値は5日(四分位範囲3~7日)で、発症からICU入院までの日数の中央値は9.5日(7.0~12.5日)だった。ICU患者の重症度評価の指標であるAPACHE IIスコアの中央値は17(14~19)だった。

 患者の大半が何らかの臓器障害を起こした。35人(67%)がARDSを、15人(29%)が急性腎障害を、12人(23%)が心機能障害を、15人(29%)が肝機能障害を、1人(2%)が気胸を発症していた。

 院内感染が7人(13.5%)に発生した。1人(2%)にはカルバペネム耐性Klebsiella pneumoniaeの肺感染と血流感染が認められた。5人(10%)の患者の気道分泌物から、それぞれAspergillus flavusAspergillus fumigatus、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生性Pseudomonas aeruginosa、ESBL産生性Klebsiella pneumoniae、ESBL非産生性Serratia marcescensが1人ずつ検出された。1人は、尿培養でCandida Albicans陽性となった。

 33人(63.5%)が高流量鼻カニューレ酸素療法を、37人(71%)は機械的換気を受けた。6人(11.5%)には腹臥位換気を行い、6人(11.5%)が体外式肺補助(ECMO)を必要とした。9人(17%)に腎代替療法が行われ、18人(35%)には血管収縮薬が投与された。23人(44%)に抗ウイルス薬が投与され、49人(94%)に抗菌薬が、30人(58%)にグルココルチコイドが投与されていた。抗ウイルス薬の内訳は、オセルタミビル18人(35%)、ガンシクロビル14人(27%)、ロピナビル7人(13.5%)だった。

 28日後までに32人(61.5%)が死亡した。ICU入院から死亡までの日数の中央値は7日(3~11日)だった。死亡者の年齢は生存者に比べ高く(64.6歳と51.9歳)、慢性疾患患者の割合が高かった(53%と20%)。また生存者に比べると死亡者はARDSの発症率が高く(81%と45%)、機械的換気の使用率が高かった(94%と35%)。機械的換気が必要だった37人のうち30人(81%)が28日後までに死亡していた。

 30~39歳の患者6人は全員が生存できたが、40~49歳の患者6人中3人が死亡した。50歳以上になると生存患者より死亡者の方が多くなり、70~79歳では8人中7人が死亡、80~89歳の2人はいずれも死亡していた。

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