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シリーズ◎大腸癌を征圧せよ
再発リスクが1%でも数十%でも患者にとっては変わらない
防衛医科大学校外科学講座教授の上野秀樹氏に聞く

 大腸癌治療ガイドライン2019年版では、垂直断端陰性に内視鏡的切除できたT1癌(以下SM癌)の治療方針について、病理組織学的検索で(1)低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌、(2)SM浸潤度(1000μm以上)、(3)脈管侵襲陽性、(4)蔟出(ぞくしゅつ)(BD2/3)──の4つのリスク因子のうち1つでもあてはまる場合は、リンパ節転移の可能性があることから「郭清を伴う腸切除を考慮する」とされている。あくまで「考慮」であり、患者と話し合いをした上で必要な患者に腸切除を行うことになるが、現実には多くのケースが追加腸切除されているのが現状だ。

 しかし、これまでに大腸癌研究会によるプロジェクト研究の結果、外科切除例でみた場合、SM癌で1つ以上のリスク因子をもつ症例のリンパ節転移陽性率は2割もなく、8割以上はリンパ節転移が陰性という結果だ。さらにリスク因子が「SM浸潤度1000μm以上」の1つだけのSM癌に限るとリンパ節転移率は、1.3~1.4%に過ぎないという結果も最近報告された。内視鏡的切除後のSM癌に対する追加腸切除例の多くは、結果から見ればリンパ節転移がなく、「過剰な」手術だったということになる。

 そこで大腸癌研究会では、「pT1大腸癌のリンパ節転移の国際共同研究」と題し、SM癌でリンパ節転移のリスクが高い患者を見いだすための国際共同研究を2016年から進めている。このプロジェクト研究の委員長を務める防衛医科大学校外科学講座教授の上野秀樹氏に話を聞いた。


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