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ニュース◎日医が「かかりつけ医のための適正処方の手引き(4)脂質異常症」を公開
「余命1年ではスタチン中止は選択肢の1つ」
ただし生命予後3年以上はスタチン治療の対象となり得る

 日本医師会は、1月29日、「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き(4)脂質異常症」を公表した。これまで日医は日本老年医学会の協力を得て、「安全な薬物療法」「認知症」「糖尿病」の3テーマで適正処方の手引きを出しており、今回で4つ目となる。

 手引きでは、まず、高齢者は成人に比べ動脈硬化性疾患の発症リスクが高く、脳血管障害や冠動脈疾患発症後の予後が不良であり、要介護状態となるリスクも高いこと、フレイルや甲状腺機能低下症などの合併により脂質異常症の発症リスクが高まることなどに言及。そのため、高齢者においても、動脈硬化性疾患の一次予防、二次予防に向けて脂質異常症を適切に管理することは極めて重要であるとした。

 治療に関しては、その基本は食事療法、運動療法であるとし、薬物治療は慎重に行うべきとのスタンスを示した。薬物療法を実施する場合は、認知機能、生活機能障害、服薬管理能力、介護の必要性、薬物動態の加齢変化、併存疾患などに考慮し、慎重に処方する。

 薬物療法のエビデンスが限られることもその背景にある。前期高齢者(65歳以上74歳以下)では、スタチン投与により、冠動脈疾患、非心原性脳梗塞の一次および二次予防効果が複数の論文で示されているものの、後期高齢者(75歳以上)においては、冠動脈疾患の二次予防効果を示す研究報告はあるが、一次予防の有効性を示す十分なエビデンスがないからだ。またスタチン投与で糖尿病の新規発症が有意に増えることや、併存疾患に対する薬物との間で相互作用が生じ、効果の増強したり減弱したりすることがある点についても注意喚起した。

 さらに余命が1年以内と想定されるエンドオブライフの患者に対しては、スタチンを中止しても死亡や心血管イベントの増加はなく、むしろ、QOLが改善し、医療費の節減効果が認められた(Kutner JS et al. JAMA Intern Med 2015;175:691―700)という海外の介入研究を引用。「エンドオブライフの患者に対しては、服用中のスタチンを中止することも選択肢の一つであると考えられる」とする。ただし、3〜4年間の治療でスタチンによる心血管イベント抑制効果が認められることから、「生命予後が少なくとも3年以上見込まれる場合にはスタチン治療の対象となり得る」との判断を示している。

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