厚生労働省は2019年11月15日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で2020年度診療報酬改定に向けて、急性期一般入院基本料など急性期における入院医療の評価の在り方について議論した。
実態を踏まえて重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の評価項目を「見直すべき」とする意見が示されたほか、認知症やせん妄を抱えた患者の受け入れに関する評価基準については「急性期病棟の指標としてふさわしいのか」と疑問を呈する声が複数上がった。また、次期改定でDPC/PDPS(診断群分類別包括評価支払い制度)の診療実績データを用いた評価方法(看護必要度II)への移行をより拡大すべきだという指摘があった。
看護必要度の評価項目には、A項目の「モニタリング及び処置など」とC項目の「手術などの医学的状況」、B項目の「患者の状況など」がある。
これら評価項目のうち、A項目とC項目に含まれる治療・処置、手術内容について見直しの必要性が指摘された。
厚労省は総会で2018年度入院医療等の調査結果を示し、A項目の「専門的な治療・処置」に該当した患者のうち「1項目への該当」が8割以上を占めていると報告。該当項目の内訳では「免疫抑制剤の管理」「ドレナージの管理」が多かったことを示した。
また、A項目の「専門的な治療・処置」に該当する薬剤のうち、抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤の内服薬は、全体的に入院で実施される割合が低いこと、C項目の評価対象である手術等には入院で実施される割合が9割未満のものがある一方、「経皮的針生検」や「EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)」など入院をして実施されている割合が9割以上だが評価対象外となっている検査項目が多数あることを報告した。
調査結果を受けて、日本医師会常任理事の松本吉郎氏は「薬剤によっては投薬後の副作用などの評価を見るために入院で行う必要があるものもある」と評価項目の変更は慎重に判断するよう注意を促した。
加えて、評価項目を見直せば、看護必要度の重症患者の割合に影響がおよび、急性期一般入院料1の届け出が困難になる医療機関が出てくる可能性があることから「評価項目の見直しの具体例とそれに伴う影響のシミュレーションを示してほしい」と健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏が発言。これを受け、厚労省は年内にシミュレーションの結果を示す方針だ。結果を踏まえて評価項目が見直される可能性が高い。
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