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シリーズ◎2020診療報酬改定
機能強化加算、患者への事前説明の要件化が議題
「紹介状なし」の大病院受診時定額負担はさらに対象拡大か

 厚生労働省は10月30日、中央社会保険医療協議会中医協)総会を開催し、2020年度診療報酬改定に向けて外来診療の評価の在り方を議論した。2018年度診療報酬改定で、かかりつけ医機能を評価する目的で新設された「機能強化加算」については、支払い側の委員が算定要件に含まれる院内掲示の内容や方法を見直し、文書を提示しながら患者に説明するよう要望。これに対して診療側の委員は「負担が大き過ぎる」と反論した。議論を受けて今後何らかの見直しがされそうだ。

 機能強化加算(80点)は、適切な診療を行うほか、疾病や健康などに関する相談に継続的に応じ、必要に応じて専門医を紹介する「かかりつけ医機能」を評価する点数。地域包括診療料・加算など関連する報酬を届け出た医療機関が初診時に算定できる。厚労省の2018年社会医療診療行為別調査(5月診療、6月審査分)の結果によると、「機能強化加算」の算定回数は178万3064回で、届け出医療機関数は病院が1048施設、診療所が1万1793施設。診療所では初診の1割近くで機能強化加算が算定されている。

 また厚労省は、患者を対象とした「かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等に関する実施状況調査」の結果を報告。「かかりつけ医を決めている」と答えた患者の割合や、健康診断の結果など健康管理に関する相談の実施率が機能強化加算を届け出ている医療機関の方が高い傾向にあることを明らかにした。

 「医師に他の医療機関の受診状況を伝えているか」を患者に尋ねた結果では、機能強化加算を届け出ている医療機関の71.5%、届出のない医療機関の58.9%の患者が「(受診した医療機関に)伝えている」と回答。さらに、他の医療機関で処方されている薬の内容については、届け出のある医療機関の患者では68.5%、届出のない医療機関の患者では58.3%が「伝えている」と答えていた。

 加えて、かかりつけ医の役割に関する説明を受けたか否かを患者に尋ねた結果では、届け出のある医療機関の患者では34.9%、届出のない医療機関の患者では16.6%が「受けた」と回答した。

 調査結果を受けて健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、かかりつけ医機能を推進するために機能強化加算の算定が必要なことは「百歩譲って理解する」と発言。しかし、機能強化加算を届け出ているにも関わらず、他の医療機関の受診状況や薬の服用状況を医師に伝えていない患者が一定程度いることから、患者の受診状況や服薬状況を確認していない医療機関が一定数あると指摘。「かかりつけ医の役割さえ説明していない医療機関が過半数存在している」と述べ、こうした医療機関は「かかりつけ医機能を果たしているとは言い難い」と強く批判した。

 その上で、かかりつけ医機能を有することを院内掲示し、診療前に文書を用いて患者に説明することを算定要件に加えるよう要求した。

 これに対して日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「全ての患者に説明するのは非常に難しい」と反論。体制を評価する加算はほかにも複数あり、「体制に関する加算全てを説明することになれば患者1人につき30~40分かかる」と述べ、「働き方改革の流れにも矛盾する」と訴えた。

 だが、全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、働き方改革は視野に入れなければならないが「果たすべき責務は時間がかかっても行うべき」と返し、議論は平行線をたどった。

 経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理の宮近清文氏は「10分や20分かけて説明するべきではない」と発言しつつ、「書面で渡されれば患者も読むだろう」と私見を述べた。それに「掲示内容に工夫が必要だという意見だと受け止めた」と松本氏が応じる場面もあった。

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