東京医大ではかつて生体肝移植を巡り、不祥事が相次いで発覚したことがあります。組織運営を見直すため、2010年に第三者委員会を設け、私がその委員長を務めました。臼井氏が学長のときのことです。第三者委員会を立ち上げた当時、東京医大は社会的信用が失墜し、文部科学省や厚生労働省からも厳しい目を向けられるなど危機的状況にありました。それでもなお、第三者委員会が提言した抜本的改革案に対する大学側からの反発は強く、委員会と大学執行部とが、最終的に決裂する結果となりました。

 東京医大は私立医大の中でも重要な地位にある伝統校です。新宿という一等地に病院を構え、患者数も多い。それだけにさまざまな利権があります。恐らくこれまでの自分たちの地位や利益を守りたかったのでしょう。「こうした体質が改善されない限り、今後も決していい方向には進まないだろうな」とは思っていました。

 当時、中堅や若手の医師からは「徹底的に改革してほしい」という声をかけられましたが、権力を握っている人たちの中に気概のある人は正直いなかったように思います。

「東京医大ではガバナンスが働いていなかった」の画像

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