日経メディカルのロゴ画像

短期集中連載◎なぜ今『救急×緩和ケア』なのか part II
高齢者急性期医療には倫理的な葛藤が内在する

2018/09/03
岡村 知直(飯塚病院 緩和ケア科)

飯塚病院緩和ケア科の岡村知直氏

 8月4日、福岡済生会総合病院において、若手医師対象とする第2回救急×緩和ケアセミナーを実施した。これは、私が急性期中心の総合内科医を経て現在、緩和ケア医として活動するまでの個人的な経験をもとに、済生会福岡総合病院総合診療部の友田義崇先生と協働し、21世紀に真に求められている高齢者急性期医療は何かを考える機会になればと思い開催したものだ。

 対象を医学生、若手医師に限定し、募集定員を50人としたが、1週間で定員が埋まり、結果的に70人以上が参加した。この分野の潜在的な関心の高さを改めて実感した。

 私自身、病棟総合内科医として勤務していた時代は高齢者の急性期医療において倫理的な葛藤を覚えることが多かった。例えば、認知症高齢者が食事を摂取できない中、本人の意向を無視し胃婁を増設すべきかどうか。これだけ関心を集めるということは、このような問題に直面しているのは私だけではなかったということだろう。

 当時、倫理的な問題を解決するには、緩和ケア領域で触れることの多い対患者、対患者家族コミュニケーションのフォーマットや、家庭医領域で学ぶことが多い困難事例へのアプロ―チ法などが解決の糸口になるのではないか、とも感じてきた。その後、訪問診療、介護療養病床での勤務と並行し緩和ケア医として活動するようになって、この思いは一層、強くなっている。

 私の経験からいっても、急性期医療から慢性期医療、そして終末期医療と全てを俯瞰した視点を持った医療者は今後、地域包括ケア時代において必須になってくると思う。こうした医療者が増えることは、疾患だけではなく、患者自身を支援する医療を実現することにつながるのではないかと考えている。

 では、高齢者急性期医療において、何が必要なのか。それは、(1)高齢者に対する急性期医療の知識、(2)知識を正しく目の前の患者に適用できる知恵、(3)患者、家族の価値観を引き出し、医学的情報を正確に伝えられるコミュニケーション力――の3点が重要だと考えている。

 この3点の啓蒙のために、今回は表1のようなプログラムを準備した。また、老年内科的な知識は今後必須であると考え、亀田総合病院よりSandra Moody先生を招聘し特別講演をお願いした。

亀田総合病院臨床教育専任医師でUniversity of California San Francisco老年医学科准教授のSandra Moody氏(左)と通訳を務めた飯塚病院緩和ケア科の木村衣里氏

この記事を読んでいる人におすすめ