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特集◎かかりつけ医の未来《事例編1》
家庭医療専門医3人の診療所、困難例にも対応
多摩ファミリークリニック(川崎市多摩区)

写真提供:多摩ファミリークリニック

 「子どもから高齢者まで、日々の生活の中で起こる全ての健康問題に対応できるクリニックを目指している」。こう語るのは多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹氏だ。生活全体を支える診療所にしたいという思いから、2人の医師に加え、薬剤師や看護師、診療所では珍しい医療ソーシャルワーカー(MSW)を雇い、外来、在宅医療で各職種の専門性を生かした運営体制を整えている。

 同クリニックは常勤医師3人体制で、全員が日本プライマリ・ケア連合学会が認定した家庭医療専門医。年齢を問わず、幅広い疾患に対応できる複数医師を擁することで、様々な疾患を抱える外来患者や、状態が不安定で頻回の診療が必要な在宅患者にも対応している。さらには主治医制を基本としながらも、主治医の不在時や緊急時などには必要に応じて他の医師が代わりを担うなど、柔軟な対応ができるのも特徴だ。

 同クリニックの半径2~3km圏内には川崎市立多摩病院、聖マリアンナ医科大学病院などの大病院がある一方で、急性期後に在宅復帰を支援する地域包括ケア病棟などのベッドは圧倒的に不足している。そのため以前は、状態が不安定な患者が急性期病院を退院しても自宅に戻れず、遠方の病院に転院せざるを得ないことも多かった。

 そうした患者が急性期病院から直接、在宅復帰できるよう支援するのが、同クリニックの重要な役割だ。当初は「本当に対応できるのか」と急性期病院も半信半疑だったようだが、実績を積み次第に信頼を獲得。今では、定期訪問の在宅患者約120人のうち7割が大病院からの紹介となっている。

薬剤師が訪問診療に同行
 状態が安定していなかったり、複数疾患を持つ患者の療養を支え、効率的な診療を行うには、医師以外の職種との連携が欠かせない。

 多摩ファミリークリニックは午前中は外来3診体制で、1日約130人の外来患者を診る。多くの外来患者を診るために、薬剤師で副院長の八田重雄氏が診療前に薬剤の処方状況を確認している。「処方薬の相互作用や、経過に合わせた薬剤の切り替えの提案を事前にカルテに記載することで、医師が効率良く指導を行えるようにしている」と八田氏。昼以降は、外来を担当していた医師のうち1人が交替制で在宅診療に向かう。八田氏は在宅診療にも同行し、服薬指導をしている。

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