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厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」
応招義務で「無制限に働くこと」は想定されず

9月19日に開催された厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の様子。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が9月19日に開催され、応招義務の解釈に関する厚労省研究班の主任研究者である岩田太氏(上智大学法学部教授)がこれまでの議論の中間整理を報告した。岩田氏は応招義務について、医師個人が患者に対して直接、民事上の責任を負う義務はなく、倫理規定のようなものであると説明。「本来、応招義務で無制限に働くことは想定されておらず、医師の健康とのバランスを取ることが重要だ」と強調した。

 同氏らは「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応招義務の解釈についての研究」班で、これまでに2018年8月、9月と2回の議論を行っている。

 医師の応招義務に関しては医師法第19条に規定されており、診療に従事する医師は正当な事由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならないとされている。診療を拒む「正当な事由」は、昭和30年の厚生省医務局医務課長の通知を基に「医師の不在または病気などで事実上診療が不可能な場合に限られる」とされている。

 岩田氏は、応招義務について、「医療の公共性や、医師による医業の業務独占、生命・身体の救護という医師の職業倫理などを背景に、訓示的規定として設定されたものだが、実態としては『診療の求めがあれば診療拒否をしてはならない』という職業倫理・規範として機能。法的効果以上に医師個人や医療界にとって大きな意味を持ち、医師の過重労働につながってきた側面がある」と指摘した。さらに、応招義務が規定された当時は、医療供給体制がシステム化されておらず、個々の医師の協力により医療提供体制を確保していた状況にあったと岩田氏は説明。現代に合わせて新たな解釈などを示すことが必要だと指摘した。

 「医師に応招義務があるからといって、当然のことながら、際限のない長時間労働を求めていると解することは正当ではない。『国民の生命と健康を守るため、医師は死ぬまで働け』なんて結論が出ることはあり得ず、常識的な結論が出るだろう」と岩田氏は話した。

 また同氏は、医師の働き方改革との関係における応招義務の解釈・範囲については、(1)救急医療、(2)患者の迷惑行為、(3)勤務時間外の対応、(4)病状などに応じた適切な医療機関への転院――などのケースに分け、医師個人に過剰な労働を強いることのないよう、応招義務の対象・範囲と、診療を拒否できる「正当な事由」の範囲を検討し、体系的に示すことが必要だと指摘した。

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