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シリーズ◎医師の「働き方改革」
宿日直明け連続勤務で診療ミス増加、7割が経験
医療安全の点から医師の連続労働にも上限を

 宿日直明けの連続勤務が医師の集中力や判断力を鈍らせ、実際に診療ミスが増えていることが、2月20日に公開された「勤務医労働実態調査2017」の最終報告で明らかになった。調査に当たった全国医師ユニオン代表の植山直人氏は、「欧米では医療安全の点から医師の連続労働に上限が設けられている。日本でも安全確保のために上限を設けるべき」と訴えている。

 勤務医労働実態調査2017は、前回の2012年調査に次ぐもの。植山氏のほか、NPO法人医療制度研究会副理事長の本田宏氏、全国保険医団体連合会会長の住江憲勇氏、小児科医師中原過労死裁判元原告の中原のり子氏らが呼びかけ人となった勤務医労働実態調査2017実行委員会が実施主体。調査は、日本小児科学会や日本皮膚科学会などの専門学会や都道府県医師会などの協力の下、2017年7月1日から9月30日まで行われた。ウェブサイトなどでアンケートへの協力を求め、この間に1803人の勤務医から回答を得た(調査概要については文末参照)。

 今回の調査結果で最も注目すべきは、多くの医療機関で労働基準法が守られていない現実が変わっていない点だ。

 例えば宿日直について、厚生労働省は2002年の通達で「常態としてほとんど労働する必要がない勤務」と定めている。だが、今回の調査では「通常業務と変わらない」が34.5%、「通常業務よりは労働量は少ない」が47.2%で、通知基準に合致する「ほとんど通常業務は行わない」は13.7%に過ぎなかった。前回の2012年調査では、それぞれ32.4%、52.9%、14.7%だった。

 宿日直時間は、本来なら「ほとんど労働する必要のない勤務」とされるため時間外労働時間に含まれることはない。しかし実際は、8割以上の宿日直で業務が行われており、いわゆる「名ばかり宿日直」が常態化していることが露呈した。

 勤務医に対する適切な労務管理が行われていない実態も浮かんでいる。タイムカードなどによる管理は27.5%に過ぎず、自己申告が51.5%と大半だった。「特に管理なし」も17.2%だった。この点について勤務医労働実態調査2017実行委員会は、「労働実態がつかめず、改善策や目標を立てることすらできない状況を生んでいる」と指摘しており、対応が急がれる。

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