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シリーズ◎その手術部位感染対策、合っていますか?(2)
Q.大腸手術では前処置と経口抗菌薬併用が有効?

 2016年秋に発刊されたWHOのガイドラインや米国外科学会(ACS)・米国外科感染症学会(SIS)合同のSSIガイドラインでは、待機的大腸手術に対して腸管の機械的処置経口抗菌薬の併用が推奨されている。これは、術前に下剤などで機械的に腸管内の便を排出させた上で経口抗菌薬を複数回に分けて投与するというもの。

 浜松医療センター(浜松市中区)副院長兼感染症内科長の矢野邦夫氏は「腸管の機械的処置と経口抗菌薬を併用することで、SSIや縫合不全、クロストリジウム・ディフィシル(CD)腸炎、術後イレウスの発生率を低下させることが報告されており、全ての待機的大腸切除術に推奨される」と説明する。

 ただし日本では、腸管の機械的処置は行っても、術前の経口抗菌薬投与は行わない施設が多いという。「米国のガイドラインは術前日における腸管の機械的処置とその後の経口抗菌薬の併用を推奨しているが、欧州では機械的腸管処置は行われておらず、手術後の回復促進を目的としたERAS (Enhanced recovery after surgery)プログラムでも機械的処置は推奨されておらず、経口抗菌薬の投与に関しては触れられていない。日本の一部の医師はERASの影響を受けているようだ」と矢野氏。また、兵庫医科大学感染制御学主任教授の竹末芳生氏は「以前は、術前経口抗菌薬を3日間にわたり長期投与していて、そのせいで耐性菌が発生していた時代があった。その当時の記憶から現在でも、機械的処置を行っても経口抗菌薬を投与しない医師が多い」と指摘する。

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