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トレンド◎他疾患の検査ついでに初期病変をスクリーニング
治せる膵癌を単純CTで見つけるAI、数年後にも
総合南東北病院と富士通が共同研究を開始

 肺疾患の精査目的で胸部単純CTを撮影。呼吸器科医が肺の所見に注目している間に、人工知能(AI)を備えた画像解析ソフトウエアが足側のスライスにわずかに写っている膵癌の初期病変を検出し、アラートを出した。消化器科に紹介し、超音波内視鏡で検査したところ、1cmの小さな膵癌が見つかり、外科的に切除できた──。

 数年後には、このような流れで患者を救えるかもしれない。総合南東北病院(福島県郡山市)と富士通は4月25日、富士通Japan、エフコム(福島県郡山市)とともに単純CT画像から膵癌の疑い病変を検出するAI技術の共同研究を開始したと発表した。まずは、2022年度中の技術確立を目標とし、その後は臨床データを蓄積した上で医療機器承認を目指す考えだ。

 国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」によれば、膵癌の5年相対生存率は12.5%(2013-2014年)。腫瘍が膵臓内に限局し、リンパ節転移がないステージIでも51.8%で「予後の悪い癌」の代表格とされている(表1)。研究に関わる総合南東北病院消化器センター長の西野徳之氏は、「1~2cmくらいの大きさで見つかれば手術が可能だが、現実的には消化器科の専門施設で狙って探しにいかないと、このサイズではなかなか発見できない」と話す。膵癌の早期は自覚症状がほとんどない。そのため、早期の段階で検査を受ける機会がなく、結局、他臓器に転移して陽子線治療や化学療法を行っても完全には抑えきれないような状態で発見されるケースが多いのが現状だという。「膵癌の予後を良くするには、全国にある一般的な病院で『治せる膵癌』を見つけられるようにしなくてはならない。それにはAIなどによる大きな技術革新が必要だと考えた」と西野氏は開発に着手した経緯を語る。

表1 膵癌の5年相対生存率(2013-2014年)(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」)

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