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特集◎吸入療法の失敗はこう防ぐ《2》
吸入薬は「デバイスを処方する」意識で選ぶ

東濃中央クリニックの大林浩幸氏は、「患者は何ができないかを確認して処方・指導することが大切」と語る。

 なぜ患者は吸入デバイスの使い方を誤るのか。数多くの誤った使い方を発見してきた東濃中央クリニックの大林氏は、「原因は吸入デバイス側にあるのではなく、患者の加齢現象や生活習慣などに起因する」と指摘する。

 1990年代後半から喘息やCOPDの治療に吸入薬が登場し、局所投与による副作用の軽減と薬剤が患部に直接送達されて高い効果を発揮することから、治療の主役となった。

 その後、新しい吸入デバイスが続々と登場した。特に増えたのがドライパウダー製剤用の吸入デバイスで、エアゾール製剤に比べれば操作手順はやや複雑になったものの、「操作ができるだけ簡便になるように工夫されている」(大林氏)という。

 大林氏は、「吸入デバイス側の問題で患者が使い方を誤るわけではない」と強調する。もし吸入デバイスの操作について、患者全員が同じところで間違うならば、そこに吸入デバイスの設計の不備があると言えるだろう。

 しかし実際には、間違ってしまう箇所は患者ごとに異なる。例えば、加齢により患者の指の力が衰えれば、それをかばうように我流の方法で操作をするようになってしまう。視力が低下した患者であれば、細かい操作は見落としがちだ。つまり、「それぞれで異なる、患者側の要因によって誤った使い方をしてしまうようになる」(大林氏)のだ。

所見や会話からデバイス選択
 吸入薬を処方する際には、こうした患者ごとの事情を配慮することが欠かせない。では、どのように吸入薬を選択すべきなのか。

 大林氏によると、まずは喘息やCOPDのガイドライン通りに、患者の重症度に応じて必要な薬剤のカテゴリーを決める。吸入ステロイド単剤でよいのか、長時間作用性β2刺激薬や長時間作用性抗コリン薬などの気管支拡張薬との配合剤が必要なのか、などを検討する。

 ただし、次のステップが内服薬と異なる。内服薬であれば、次に考えることは、幾つかある有効成分の中から患者の病態に適したものを選ぶことだろう。

 それに対して吸入療法では、患者に適した吸入デバイスは何かを考えることが先決だと大林氏は強調する。「有効成分の効果の違いを考える前に、必要な薬剤を患者が十分に吸入できるようなデバイスを選ぶ視点が必要だ」。

 そこで大林氏が実践しているのは、診察時に患者の身体機能とともに、会話から患者の性格、生活習慣などを把握することだ(図2)。

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