病院はそのまま存続させるが、各病院の「個性」を引き出して地域医療を再編したのが京都府の舞鶴地区だ。
舞鶴市には、経営母体が異なる4つの病院(国立病院機構、共済病院、赤十字病院、市立病院)が存在し、それぞれに急性期医療を提供してきた。だが、市の人口が約9万人であるのに対して病床数が過剰で、医師不足が深刻化。診療科によっては閉鎖に追い込まれていた。4病院の1つである舞鶴市民病院はかつて、米国式研修制度を導入した病院として有名だったが、副院長の退職を機に2004年に内科医14人中13人が集団退職。策を打つも、2006年に11診療科で外来診療を止めていた。
同年には舞鶴市民病院のあり方を検討する委員会が立ち上げられ、議論を開始。その後、国の地域医療再生基金事業基金を用いる再編が検討された結果、2010年には急性期診療を担う基幹的病院と、補完的機能を果たすサテライト病院に再編統合するという、中丹地域医療再生計画が了承された。
勤務医からは不満と不安の声
だが当時、この計画に対して現場の勤務医からは「急性期患者を診られないのではモチベーションが上がらないので退職する」「サテライト病院になったら診療所と変わらない」「4つ以上の異なる医局の医師が同じ職場で働くと混乱が起きるのでは」といった不安や不満の声が上がった。「勤務医の労働環境を考えると、この構想を飲めないと感じた」と舞鶴赤十字病院院長の西田和夫氏は振り返る。
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