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特別企画◎公立病院改革対談(後編)
夕張市での公設民営化で反省していること
日本海総合病院院長 栗谷義樹氏 × 東日本税理士法人代表社員 長隆氏

――長さんは、北海道夕張市が財政破綻したときに、夕張市立総合病院の公設民営化に関わられました。この時は医療法人財団夕張希望の杜を作り、指定管理者とし、病院は診療所にしたわけですが、振り返っていかがですか。

 171床あった夕張市立総合病院については、総務省は当初から診療所にする考えでした。隣の栗山町に栗山赤十字病院もあるので大丈夫だろうと。私もそう考えたのですが、市長が来られて「真冬に来てみてくれませんか」と。確かに真冬の豪雪地帯で栗山赤十字病院まで通うのは大変です。

 最終的にベッドは19床残して有床診療所とし、40床の老人保健施設を併設することになりました。経営は、指定管理者制度を導入し、新しく作った医療法人財団夕張希望の杜に任せることにしました。

 初代理事長の村上智彦先生は在宅医療や予防医療に取り組み、総医療費の削減に尽力しました。とても立派だったと思います。ただし、私自身には大きな反省が残りました。今だから言いますが、171床あったので病院の時は年間2億円近い交付税が出ていました。それが診療所にすると年間800万円ほどになってしまったのです。これでは、年間1億円くらいかかる暖房費も賄えない。病院の建物を改装して診療所にしていたので、暖房費が相当かかるのです。

 でも、後から大変な事実が判明しました。国の方では800万円では大変だろうということで、診療所化後も5年間は2億4000万円近く夕張市に交付税を出し続けていたのです。ところが、それは診療所や老健施設には回ってこなかった。800万円しか市はくれなかった。どこに行っていたかというと、夕張市の財政に回していた。

栗谷 市の財政状況も厳しく、医療には回せなかったのでしょうね。違法性はないのでしょうが、本来医療に使うべき交付金だったのですね。後から分かったのですか。

 そうです。一緒に病院の再建に関わり、全国自治体病院協議会の会長だった故・小山田惠先生もご存じなかった。交付税制度や特別交付税制度をもっと勉強すべきだった。大いに反省しています。もし2億円が5年間出ることが最初から分かっていれば、老健施設にしないで療養病床か何かにして、病床を残すという選択肢もありました。

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