たとえ数多くのヒヤリハットや事故の事例を収集できたとしても、その分析を誤ると、効果的な改善策を導き出すことは難しくなる。10月にスタートする医療事故調査制度では、予期せぬ死亡事故が発生した際に院内調査を行うことが義務付けられており、各医療機関で分析の手法や具体的な手順などを検討しておくことが欠かせない。
自治医大医療安全学教授の河野龍太郎氏は、「万一死亡事故が発生し、その分析を行う際は、死因究明だけではなく、事故が発生した原因を人間の行動や工学的な面から分析することが必要になる。だが医療機関では、ともすれば、死因究明には熱心でも行動分析などが疎かになりがちだ」と指摘する。
行動分析とは、エラーにつながるような行動をなぜ取ってしまったのかを突き詰めて分析していくことを指す。工学的な分析は、医療機器が誤作動したり破損したようなケースで、そのメカニズムを明らかにしようとするものだ。
「正しいと判断した」背景を考える
行動分析の効果的な手法の1つが「なぜなぜ分析」。例えばAという行為が問題とされたとき、そこを起点として「Aをしたのはなぜか」「それはBだったから」「ではなぜBをしたのか」といった具合に掘り下げて分析していく方法だ。
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