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特集◎腹腔鏡下手術事故 放任の大罪(5)手術事故を防ぐ仕組みとは
事故発生時こそ「報告」で院内オールスター投入

 トラブル発生で患者が危機にさらされている──。そんなときこそ医療安全管理部門に緊急連絡し、全科でトラブルに対応する仕組みを構築しているのが名古屋大学病院だ。

 同院では、トラブルにより患者が危機的状況にあって単一科での対応が困難であれば、すぐに緊急連絡。連絡を受けた医療の質・安全管理部は各部署のクオリティ・セーフティマネジャー(各部署に配置されている患者安全の責任者)を核とした「部署横断型治療チーム」を結成する。「院内のオールスターチームを投入して患者の被害を最小化する」と医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏は話す。

 こんな実例があった。小児の手術中に点滴が漏れて足が腫れ上がり、筋腱・神経組織が壊死する「コンパートメント症候群」が懸念される事態が起こった。手術室から緊急連絡を受けた長尾氏は、直ちに整形外科、形成外科、皮膚科、薬剤部のクオリティ・セーフティマネジャーに連絡。

 コンパートメント症候群に詳しい整形外科医と形成外科医が手術室に向かい、切開術を施して減圧し、血流不全を改善させた。皮膚科医は患部の炎症に対応。薬剤師は漏れた薬剤の成分を調べ対処法を現場に伝え、大事に至らず手術を終えた。

 医療安全には関心が薄い医師もいるが、こうした取り組みで救われる例があると、関心を寄せるようになる。また、医師による医療の質・安全管理部への報告も活性化する。

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