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特集◎医療事故調で現場はどうなる(4)論点2
院内調査報告書に何を書く?何を書かない?

 事故調制度の目的は「原因究明」と「再発防止」。全国の医療機関から報告された医療事故を第三者機関が分析することで、再発防止につなげるのが趣旨だ。ただし、院内調査報告書の書き方次第では、本来の目的とは異なる「個人の責任追及」に利用される恐れも指摘されている。

 省令・通知案をまとめた検討会で特に議論になったのは、院内調査報告書や第三者機関の調査報告書に「再発防止策」を書くかどうかだった。「こうすれば防げたかもしれない」と書くと、「なぜその時それをしなかったのか」と追及され、訴訟につながる可能性があるためだ。「これまで行われてきた多くの医療事故調査では、個人の責任追及に終始し、トカゲのしっぽ切りをするような報告書が作成されてきた。研修などを通じてどの医療機関でも適切な報告書を作成できるようになるまでは、再発防止策を書くべきではない」と浜松医科大学医療法学の大磯義一郎氏は指摘する。

システムエラーに着目する
 どうしたら個人の責任追及をするような報告書ではなく、制度の目的に合致した報告書になるのだろうか。そのカギは、個人が引き起こすヒューマンエラーではなく、体制などが原因で起こるシステムエラーを分析する視点に立脚することだ。自治医科大の河野氏は、「人間は必ずエラーを起こすということを前提にし、二度と同じことを繰り返さないようにするための方策を考えることが大事だ」と強調する。

 そもそも医療は、不確実性が高い行為だ。「患者の状態を推測する情報は限られ、さらには患者が健康ではない状態では何が起こるか分からない。このような悪条件にもかかわらず、完全性を求めて個人の責任追及をすべきではない」と河野氏は指摘。調査の際には、確実性が高いと推測される原因である『probable cause』を積み重ねて真実に近づくことが重要だと話す。例えば誤薬投与で患者が死亡した例については、「状況要因が重要なので、なぜその状況でその薬剤を使ったのかまで背後要因を検討することが必要」とアドバイスする。

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