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シリーズ◎2016診療報酬改定
主治医機能、算定対象となる疾患を拡大へ
小児に対する主治医機能の評価も検討

 中央社会保険医療協議会中医協)は11月18日の総会で、2016年度診療報酬改定における外来医療のあり方について議論した。2014年度改定で主治医機能を評価するために新設された「地域包括診療料」「地域包括診療加算」について、認知症患者に対して介護に関する療養上の指導を含めた継続的かつ全人的な医療を提供し、多剤投与の是正などを行う場合は高血圧糖尿病脂質異常症以外の疾患を合併していても算定できるようにすること、小児に対する主治医機能を評価することなどを検討した。

 地域包括診療料・加算は、主治医機能を持つ中小病院や診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対して全人的な医療を行うことを評価した点数。高血圧、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2疾患以上を有する患者を対象とし、療養上の指導や服薬管理、健康管理を行うこと、在宅医療を提供すること、24時間の対応を行っていることなどを算定要件としている。地域包括診療料は月1回1503点、地域包括診療加算は1回につき20点算定できる。

 これらの点数は、外来の機能分化を促進する観点から新設された。だが、2015年7月時点の届け出施設数は、地域包括診療料が93施設、地域包括診療加算が4713施設で、いずれも2014年7月より減っていた。中医協の診療報酬改定結果検証部会の調査によると、対象疾患を2疾患以上有する患者のうち、地域包括診療料を算定された患者は9%にとどまっていた。対象疾患の組み合わせとしては高血圧と脂質異常症の2疾患が多く、次いで高血圧と脂質異常症、糖尿病の3疾患が多かった。

 一方で、認知症の推計外来患者数は増加傾向にある。前出の調査によると、認知症の合併疾患としては消化器疾患や運動器疾患、循環器疾患などが多かった。地域包括診療料・加算を算定していない認知症患者の半数以上が6種類以上の薬を服用しており、10種類以上の薬を服用している患者も1割程度いた。

 また、厚生労働省がまとめた「認知症施策推進総合戦略新オレンジプラン)」では、認知症対策としてかかりつけ医が認知症に対する対応力を高めることや、かかりつけ医や介護支援専門員(ケアマネジャー)などが中心となって医療・介護の連携を図ることなどが挙げられている。

 こうした実態を踏まえ、認知症の場合は高血圧、糖尿病、脂質異常症以外の疾患を合併する場合でも主治医機能として評価することを厚労省は提案した。その場合、介護に関する療養上の指導を含めた継続的かつ全人的な医療の実施や、多剤投与の是正などを求める考えだ。

 算定対象となる疾患を拡大するという厚労省の提案に反対の意見はなく、方向性は了承された。一方で、多剤投与の適正化については、「必要な薬剤を処方した結果として多剤になるケースもある」として配慮を求める意見も診療側から出た。

 さらに、診療側からは現行の地域包括診療料・加算の算定要件を見直すよう、要望が相次いだ。日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「病院の場合、算定要件に2次救急指定病院または救急告示病院とある。急患への対応は必要だが、2次救急指定や救急告示まで必要だろうか」との考えを示した。日本医師会副会長の中川俊男氏も、「『要件が厳しすぎる』という声を全国の医師会員から聞く。一つひとつの要件の緩和を検討してほしい」と訴えた。

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