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シリーズ◎2016診療報酬改定
在宅患者の重症度による報酬体系の導入を検討
“減額回避”の個別訪問には何らかの対策を行う方針

 中央社会保険医療協議会中医協)は5月27日に総会を開き、2016年度診療報酬改定における在宅医療の方向性について議論した。在宅時医学総合管理料在医総管)のように軽症、重症にかかわらず在宅医療を提供した患者に一律の診療報酬が支払われる現在の体系を見直し、患者の疾患や状態に応じた報酬設定を検討することになった。集合住宅の居住者への訪問診療については、減額を逃れるために各入居者を別の日にそれぞれ訪問するといった効率の悪い診療が行われている現状も明らかになり、何らかの対策を取ることで意見が一致した。

 同日の協議会で厚生労働省は在宅医療の課題として、医学的な管理に対する評価が患者像にかかわらず一律であることや、診療頻度と患者の重症度や満足度にあまり関係がないことを挙げた。

 医学的な管理を評価する在医総管などは、患者の状態に関係なく一律の報酬が設定されている。だが、実際には健康相談のみの患者から人工呼吸器などの医療行為を必要とする患者まで患者像は幅広い。厚労省が示した2014年度検証部会調査によると、人工呼吸器管理などの医療行為を必要とする患者は、健康相談のみの患者に比べて入院率が高く、訪問診療時間は長い傾向にある。そこで厚労省は、次期改定では医学的管理の難しさや診療時間の違いなど、患者の疾患や状態に応じた報酬体系の導入を検討する方針を示した。

 中医協委員である日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は「患者の疾患や状態に応じた評価はいいと思うが、在宅医療の場合は入院医療と異なり、重症でも必ずしも医療行為が増えるわけではない。そうした事情を反映できる評価が必要だ」とコメント。東京山手メディカルセンター(東京都新宿区)院長の万代恭嗣氏も「患者像に応じた評価が必要だろう」と、厚労省の提案に賛同した。

 一方、2013年度社会医療診療行為別調査(6月審査分)によると、1カ月当たりの診療回数は外来診療の70%以上が「1回」だったのに対し、在宅医療では「2回」が約50%で最も多かった。2012年度の調査でも「1カ月に2、3回」が最多。在医総管や特定施設入居時等医学総合管理料特医総管)は訪問診療を月2回以上行った場合しか算定できないことが背景にあるとみられる。

 また、2012年度検証部会調査によると、訪問診療が1回の場合と2~3回の場合を比較しても、患者の入院率や満足度はほぼ同じだった。このため、厚労省は次期改定で現在の診療頻度に応じた評価についても見直しを図る。

特定施設以外の集合住宅の評価のあり方について議論
 中医協では、介護付き有料老人ホームなどの「特定施設」と、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅などの「それ以外の同一建物」で区別している現在の報酬体系も見直す方針だ。この区別は、同一建物に看護職員の配置義務があるかないかで分けられている。「特定施設以外の同一建物」は看護職員が配置されない分、在宅医療資源の投入量が多いと想定されることなどから、点数の低い特医総管ではなく、居宅と同じ在医総管を算定できるようになっている。

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