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特集◎日常診療に潜む危険《流行性ウイルス病》
罹患歴がある人こそ抗体価を測定すべし

 2014年は麻疹の報告が463件と例年になく多い年だった。国立感染症研究所によると、医療関係者の発症や外来での感染伝播例も報告されている。同感染症疫学センターの多屋馨子氏は、「抗体価が低いと分かっていながら対応していなかった事例や、2回接種したと思っていたが、1回目は0歳での接種で、2回目は親の記憶でしかなく記録が残っていなかった事例があった」とし、医療機関での対策が急務と訴える。

成人の罹患は重症化しやすい
 麻疹をはじめ水痘や風疹、流行性耳下腺炎(ムンプス)といった流行性ウイルス病は、「決して小児の軽い病気などと侮ることはできない」(多屋氏)疾患だ。麻疹と水痘は空気感染で、風疹とムンプスは飛沫感染で伝播し、いずれも感染力は強い。

 成人になってから罹患すると重症化しやすいことは、医療者であれば誰もが承知している。さらに医療者が罹患した場合、患者に感染を広げることにもなりかねない。妊婦や免疫不全患者、これら4疾患に対する感受性の高い患者を担当する診療科では、その影響は計り知れない。

 対策として多屋氏は「事前準備が大切」と話す。例えば、医学生らの実習前や新たに職員となった医師らの入職前に、母子健康手帳などの記録に基づいた予防接種歴を本人と医療機関側の双方で確認し保管することが重要という。この段階でのチェックポイントは、「罹患歴があると思っている人こそ抗体価を測定し確認する。罹患歴も予防接種歴も記録がない人は『無』と判断する。0歳児の予防接種は回数に含めない。『1歳以上で2回の予防接種歴の記録』あるいは『検査診断された罹患歴』がない場合は感受性と捉える」(多屋氏)などだ。

 日本環境感染学会は2014年9月、「医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版」を発表した。その中でワクチン接種のフローチャート(図2)を示した。この図に沿って自らの接種状況を確認することが個人としての対策の第一歩となる。

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