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特集◎今冬のかぜ診療《11》催奇形性
妊娠初期の熱は積極的に解熱する?
⇒ ○ アセトアミノフェンの投与を

 妊娠している患者で特に気を付けたいのが妊娠初期の高熱だ。神経管欠損による奇形など、母体の高熱により催奇形性のリスクが高まることが示唆されている(Graham JM Jr,etal. Teratology.1998;58:209-21.)。加えて、アセトアミノフェンによって解熱した群は、しなかった群よりも奇形のリスクが低下したという報告もある(Feldkamp ML, et al. Obstet Gynecol 2010; 115:109.)。

 そのため菊川市立総合病院家庭医療センター(静岡県)の鳴本敬一郎氏は「妊娠初期の発熱は、一般成人に比べてより積極的な解熱を考慮してよい」と言う。

 患者が妊娠している場合でも、確立したかぜの治療法がないのは一般成人と同様だ。しかし薬剤の処方では注意すべきポイントが増える。

 アセトアミノフェンは、妊娠中の使用によって先天異常のリスクを高めることはないとのエビデンスがガイドラインにも記載されている。妊娠初期に発熱を呈した患者に対し、鳴本氏は「発熱には奇形リスクを上昇させる可能性があるが、先天異常は通常でも3~5%は発現するものなので確実に回避できるとはいえない」と断った上で、アセトアミノフェンの使用を提案する。

 妊婦がかぜを引いて外来を受診する場合、通常は自分の症状を改善することを目的としているが、中には胎児への影響を心配して来院する人もいる。鳴本氏は「母親がどういう気持ちで受診しているのかを考えなくてはならない」と強調する。

 また、妊婦の場合はかぜだと思うものの中に胎児に影響を及ぼす疾患が隠れているため、油断できない。「一番怖いのは、『近医でただのかぜなので大丈夫と言われた』として、必要な診療を受けないこと」(鳴本氏)。妊婦がかぜ症状を呈している場合、原則として「かぜだから大丈夫」と終わらせるべきではないと注意を促す。

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