末期膵臓癌の80歳代男性。肝転移、腹水、下肢浮腫があり、推定生命予後は2週間程度。本人は多臓器不全に伴う傾眠状態だが、家族が中心静脈栄養の継続を強く希望している。輸液管理をどう考えるべきか──。
2013年に日本緩和医療学会が発行した「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン」では、推定余命1カ月以内の終末期癌患者に対する輸液での水分投与について、「それだけでは必ずしもQOLの改善や症状の緩和に役立たない」としている。
具体的には、1日1000mL超の輸液は、腹水や胸水、浮腫、気道分泌による苦痛をむしろ悪化させる可能性があること、また口渇に対しては、輸液療法より口腔ケアが重要であるといったことなどを述べている。そのポイントは図5の通り(なお、ここでいう『終末期患者』は、パフォーマンスステイタス(PS)が3~4に低下している、もしくは消化管閉塞以外の原因で経口摂取ができない患者を指す)。
2014年7月号特集◎輸液の誤解
特集◎輸液の誤解 Vol.7 《体液過剰》
【誤解】終末期に輸液を絞ると死期が早まる
【正解】1日1L超の輸液はQOLや症状を悪化させる
2014/07/24
井田恭子=日経メディカル
新規に会員登録する
会員登録すると、記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。
この連載のバックナンバー
-
2014/07/25
-
2014/07/24
-
2014/07/23
-
2014/07/22
-
2014/07/18