
Q10 退院や転院を拒否したり、必要がないのに入院を希望するケースは増えていると思いますか?(*クリックすると拡大表示します)
家族総出で退院拒否 菓子を差し入れ血糖値上げる
北陸地方にある急性期病院の内科に勤務するG氏は、患者を退院させたがらない家族への対応に追われた。
患者は80歳代女性で、肺炎のため救急搬送され緊急入院となった。糖尿病と脳梗塞の既往があった。
抗菌薬などで肺炎が改善したため、退院日を相談しようと家族への説明の場を設けたF氏。ところが当日、いつも来ている家族以外に、体格のいい中年の男女など10人以上が「詳しい話を聞かせてくれや」と言いながらぞろぞろと押し寄せてきた。
「肺炎は治ったので、そろそろ退院を…」と切り出すと、これまで一度も姿を見せたことのない家族が「リハビリして、歩いて帰れるようになるまでしてほしいわ!」と言い出した。患者は元々、脳梗塞の後遺症のため自立歩行は困難。到底無茶な要求だった。
また、入院中も家族がケーキや大福、ジュースなどを差し入れるため、患者の血糖コントロールは悪かった。このことを伝えると「こっちのせいにされても困るわ。糖尿病を治して、歩けるようにもしてくれや」と言う始末。
その後も何度か説明の席を設けたが、家族は聞く耳持たず。結局、退院までに約6カ月を要した。
「素直に『入院させてほしい』と言えばまだしも、憎まれごとばかり並べたてるので、非常に腹立たしかった。こうした非常識な患者や家族が増えているように感じる」とG氏は憤る。