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特集◎開業で医療を変える Vol.6
祖母の介護を機に救急から在宅へ
やまぐちクリニック(神戸市垂水区)院長 山口高秀氏

やまぐち たかひで氏
1999年阪大卒。同大特殊救急部(現・高度救命救急センター)入局。大阪府立急性期・総合医療センターなどを経て、2006年に在宅専門診療所を開設。
写真:行友重治

 在宅医を目指すきっかけとなった出来事は突然訪れた。

在宅医が見つからない…
 1999年に阪大を卒業後、名門の阪大病院特殊救急部や大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科などに勤務し、3次救急の最前線で活躍していた山口。救急医となって数年後、思いもよらず大阪で暮らす祖母が自院に救急搬送されてきた。食べ物を喉に詰まらせて窒息し、心肺停止状態で運ばれたのだ。

 高齢だったためそのまま看取るか、治療に当たるか悩んだが、救急医としての使命から蘇生を選択、救命に成功。人工呼吸器の装着が必要になったものの、最終的には離脱して退院できるまでにこぎ着けた。

 ところが、低酸素脳症による脳機能障害が残り寝たきりに。そんな祖母を受け入れてくれる病院や介護施設はなく、自宅で療養するしかなかった。山口は近隣で在宅医を探したが、当時はまだ在宅医療は普及しておらず、なかなか見つからない。やむを得ず、山口自身が救急医として働く傍ら、在宅で診療して看取った。

 「当初は、救急医を続ける体力がなくなったら開業しようと考えていたが、救急で命を救っても“出口”(退院後の受け皿)が整備されていなければ、患者は安心して生活できないことを痛感した」。山口を在宅診療に駆り立てるには十分な体験だった。

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