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2013年9月号特集◎ゴール見えた!ウイルス肝炎 Vol.4
C型肝炎、ウイルス排除(SVR)後の発癌も
進化するC型肝炎治療(ピットフォール)

兵庫医大の西口修平氏は、「SVR=完全治癒ではない」と警鐘を鳴らしている。

 新規DAAsの登場などで、大部分の患者がウイルス学的著効(SVR)を達成できる時代が到来する。しかし、兵庫医大肝胆膵科主任教授の西口修平氏は、「SVR=完全治癒」ではないと警鐘を鳴らす。IFN治療が著効してSVRを達成した患者が、治療後何年もたってから肝癌を発症する、いわゆる「SVR発癌」が、近年問題になっている。

 C型肝炎では抗ウイルス療法でSVRを達成すれば、線維化の進展や発癌が抑えられる。C型慢性肝炎を対象とした西口氏らの過去の検討でも、4年間の観察期間でIFN治療未実施患者の発癌率は年率2.5%だったが、SVR達成者の発癌率は0.5%にとどまった。

高齢で突然発癌するケースも
 「ウイルスの排除で発癌率が大きく低下するのは事実。ただし、SVRを達成したからといって、発癌のリスクがゼロになるわけではない」と西口氏は指摘する。というのも、ウイルス排除前に肝組織が受けた傷害はウイルス排除で帳消しになるわけではなく、加えて、加齢や飲酒などの要因によって発癌のリスクが高まるためだ。西口氏自身、これまで数多くのSVR発癌を経験した。

 「1990年代にIFN治療を受けた患者は、既に治療後20年以上が経過し、高齢化している。SVRを達成したことで肝不全や肝硬変への進展は免れたものの、高齢になって突然発癌するといったケースが今後増えるのではないか」と西口氏は言う。SVR発癌のリスク因子は、男性、高齢、脂肪肝、インスリン抵抗性、飲酒、HBVの重複感染、線維化進展例など。ただし、「過去に一定期間HCVに感染したこと自体が発癌のリスク因子であり、全ての患者が癌になり得ると考えて対応した方がよい」と西口氏は話す。

 兵庫医大ではSVR達成後も、半年に1回超音波検査を実施。さらに治療終了から約3年後、肝組織の炎症が治まる時期に肝生検の実施を推奨している。中には、SVR後にALTが30U/L以下に低下しても、肝組織に強い炎症所見を認める例があったという。肝組織の炎症所見や電子顕微鏡で細胞小器官の形態異常が認められる例には、発癌のリスクを抑えるため、ウルソデオキシコールを600mg/日投与している。

 「肝癌は2cm未満の早期に発見しないと予後が悪い。SVR達成者には発癌のリスクがゼロではないと説明し、定期的に超音波検査でスクリーニングすることが必要だ」と西口氏は話している。

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