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日経メディカル2012年11月号「特集 外来で治す創傷・熱傷」転載 Vol.7
摩擦と圧力の回避がカギ、ワセリンを活用し発症予防
褥瘡

 「初めて『ラップ療法』を試したのは、腕が入ってしまうほどの大きな褥瘡があり、植皮手術やポビドンヨードの塗布など、様々な手を尽くしたが治らなかった症例だった。驚くほど速く治癒が進み、巨大褥瘡がラップ療法を始めて7カ月でほぼ塞がった」。たかせクリニック(東京都大田区)院長の高瀬義昌氏はこう語る。

 以降、同クリニックではラップ療法を、在宅医療の現場で約10人の褥瘡患者に実施。「褥瘡患者は徐々に減り、今ではほとんどいなくなってしまった」と話す。

摩擦と圧力を分散させる
 ラップ療法とは、大崎市民病院鹿島台分院(宮城県大崎市)内科診療部長の鳥谷部俊一氏が、1996年に始めた褥瘡に対する治療法。

 褥瘡には従来、消毒をして外用薬を塗り、ガーゼを当てる処置が行われていた。最近では、創部の大きさに合わせた創傷被覆材による湿潤療法に変わりつつあるが、これらの処置では患者が身体を動かすと被覆材と褥瘡部位の間に摩擦力が生じ、新たな褥瘡が発生したり、創部のポケットが拡大してしまっていた。

 そこで鳥谷部氏は、患部に食品用ラップを広く貼り、湿潤環境を保つ処置を考案。さらに、滲出液が多い症例や仙骨部などよく擦れる部位の褥瘡に対して、穴が開いたポリ袋にフラットタイプの紙おむつやペットシーツを入れた独自の被覆材を当てる手法を編み出した。

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