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日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」転載 Vol.9
乳癌術後のフォローアップに腫瘍マーカーやCTを使うな
【悪性腫瘍(その1)】

 「早期で転移リスクが低い乳癌患者の場合、術後のフォローアップに腫瘍マーカーCTPET骨シンチグラフィーを用いるな」。これは米国臨床腫瘍学会ASCO)の勧告だ。

 「ASCOの勧告のうち、この項目が最も注目に値する」と語るのは、平鹿総合病院(秋田県横手市)乳腺科部長の島田友幸氏。日本の多くの医療機関では、乳癌患者のフォローアップで血液検査やCTなどがルーチンに行われているからだ。これらルーチンの検査を不適当だとする勧告がもたらすインパクトは大きい。

転移発見しても予後変わらず
 乳癌術後のフォローアップは、乳癌の乳房内再発や対側転移(もう一方の乳房への転移)の発見と、肺や骨などへの転移を発見するために行うものに分けられる。このうち、マンモグラフィーは前者、腫瘍マーカーやPET、CT、骨シンチグラフィーなどは主に後者の発見に用いられる。

 「この勧告が意味するのは、乳房内再発や対側転移と異なり、肺や骨などへの転移は発見しても生命予後に変わりはなく、患者に利益がないのだから行うなということだ」と島田氏は解説する。

 乳癌は早期に発見される頻度が高まり、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)などによる標準化学療法も進歩したため、多くの人は再発転移することなく平均寿命まで生存できるようになった。その一方で、他臓器に転移した場合は治療法が限られ、「転移をいくら早期に発見しても、現状では転移巣を根治させるほど有効性の高い治療法がない」(島田氏)という(図4)。

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