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日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」転載 Vol.7
小児の虫垂炎の疑い例はエコーの前にCTを撮るな
【消化器疾患(その1)】

 この勧告を行ったのは米国放射線医学会ACR)。「急性虫垂炎が疑われる小児に対してCTは正確な情報を与えるが、エコーでも経験を積めばほとんど同等の情報が得られる。放射線被曝やコストの点からも、エコーを先に行い、診断がつかない場合に限ってCTを行うのがよい」としている。

 最新のメタ解析によれば、エコーの急性虫垂炎に対する感度、特異度はそれぞれ88%、94%。CT(感度94%、特異度95%)には若干劣るが、小児期の被曝に伴う癌罹患率は10万人対26.1(女性)、20.4(男性)であり、費用対効果もCTよりエコーを先にした方が高いと報告されている(Radiology2009;250:378-86.)。

 ACRの勧告の背景には、CTの進歩と普及に伴い、急性虫垂炎が疑われる小児患者に腹部CTを最初に行う施設が増えている現状がある。それは日本でも同様だ。

 社会保険徳山中央病院(山口県周南市)小児科主任部長の内田正志氏は「腹部CTは技量に左右されず、感度・特異度とも高く短時間に撮影できるようになったため、比較的簡単にオーダーしてしまう傾向にある。だが放射線被曝の問題があり、生殖器への影響も考えると最小限にとどめたい」と話す。

手術適応決定にもエコーを
 ACRの勧告は日本にも当てはまりそうだ。内田氏は「腹痛、嘔吐、圧痛、筋性防御などの臨床症状・所見、好中球増加に伴う白血球数増加などの検査所見から虫垂炎を疑ったら、エコーをまず行い、虫垂炎に特徴的な所見を認めず、はっきりしない場合に腹部CTを撮るというのが理想的な診断手順だ」と言う。

 虫垂炎のエコー上の特徴的所見とは、腫大虫垂(直接所見、図3)と虫垂石、膿瘍、腹水(間接所見)だ。それらの所見を認めれば外科に紹介する。虫垂腫大が描出されないケースでは、穿孔して膿瘍を形成していて腫大虫垂が虚脱している場合が多いため、膿瘍や虫垂石の検出に努める。一方、回腸末端壁の肥厚や腸間膜リンパ節腫大、腸液貯留を認める場合は、腸間膜リンパ節炎や急性腸炎の可能性が高いので注意が必要だという。

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