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日経メディカル特別編集版連動●重症喘息 Vol.2
明らかになってきた喘息重症化の機序

 喘息の発症や重症化に気道上皮気管支平滑筋などの各組織がどのように関わっているのかについても研究が進んでいる。

発症に気道のバリア機能が関係
 日本大学総合内科准教授の権寧博氏は、喘息と気道上皮のバリア機能の関係を研究している。

 喘息のアレルギー性の気道炎症は、外から侵入する抗原や病原体などの様々な刺激により、気道上皮細胞上の自然免疫受容体が活性化されることにより、Th2が優位になって引き起こされると考えられている。近年、喘息の発症に、気道上皮細胞のバリア機能の脆弱性が関係している可能性が指摘されている。

 気道上皮のバリア機能は、細胞の立体構造と細胞間を結ぶ蛋白の機能によって規定される。権氏は、特別な処理により、気道上皮細胞を結合する蛋白を分解すると、ウイルス感染に対するケモカインの産生や樹状細胞の活性化を促す物質の産生が著しく亢進することを実験により確認している。バリア機能が脆弱な場合は、通常よりも外から物質が侵入しやすく、気道上皮の炎症反応がより一層激しくなる可能性があるというわけだ。

 バリア機能が脆弱な患者の気道上皮細胞が度重なるウイルス感染や炎症により傷害され、修復が正常に行われないことで、免疫機能の変調や環境物質に対する過敏性の発現、慢性持続性気道炎症による気道の構造変化が引き起こされている可能性もある。権氏は「気道上皮のバリア機能の改善が喘息治療の戦略の1つになる可能性がある」と考え、治療薬の探索を行っている。

ステロイドがバリア機能を修復
 さらに権氏は、ステロイドに気道上皮細胞のバリア機能を修復する効果があることも明らかにしている。気道上皮細胞を培養する際にステロイドを添加すると、添加しない場合に比べて、物質の透過を防ぐ機能(経上皮抵抗値)が有意に上昇しており、バリア機能の形成が促進された(図4)。

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