日経メディカルのロゴ画像

本誌連動◇コメディカルに「医行為」解禁へ Vol.8
【インタビュー】へき地や貧困地域でニーズ高い米国NP
米国イェール看護大大学院講師 緒方さやか氏

緒方さやか氏
成人科・婦人科ナースプラクティショナー
米イェール看護大大学院講師

 米国では、高度な診療技術を持ち、独立して患者を診ることができる職種が医師以外にもいくつかあり、NPはその中の一つだ。現在、米国全土で約14万人いる。NPの専門分野は、小児、成人といった患者の年齢層や、病棟か外来かといった診療場所によって区分されており、一番多いのがファミリー科。NPの約6割を占める。NPは州ごとの免許制で、1~3年おきに更新が必要になる。処方権も持つ。

 医師とNPの関係は州によって様々だ。全米50州のうち1割弱の州では医師の監督下で、4割の州では医師の協力の下で、あとの5割では医師から独立して診療行為を行える。実施できる医療範囲などは医療機関や個々のケースに任されているが、例えば救急現場では看護師がトリアージした上で、軽症患者はNPが診て、重症患者は医師が診るといったところもある。

 私は、成人NPと婦人NPの免許を取得しており、現在はニューヨーク州のクリニック(医師8人、NP4人)でプライマリケアのNPとして外来を担当している。基本的に診療体制は医師もNPも同じで、新患や急患は手の空いている人が診ることになっている。対象疾患は、高血圧や腎不全、認知症、性病など様々だ。予防医療や検診も手掛ける。

 ただし、重症患者など、自分の技能の範疇を超えたら、医師に相談するか診察を代わってもらう。NP教育では、自分で対処できないと判断したときには決して手を出さないようたたき込まれている。NPは看護をベースとし、診療の際にカウンセリングや予防医療、患者教育などに力を入れている点も特徴だ。

 NPが診療した場合、医療機関に支払われる報酬は、医師が実施した場合の85~100%。一方で、NPの給与は医師の50%程度であり、医療機関にとってはNPを雇うことはコスト削減になる。 

 米国でNP養成が始まったきっかけは医師不足で、各地域のニーズに合わせて役割が確立していった。初めて行われたNP教育は1965年。医師不足が深刻だったコロラド州で、看護師が必要に迫られて診療行為を行っていたが、安全性を確保するために高度な教育が必要であると判断して、看護師と医師が協力して教育講座を創設した。法整備前に教育が先行した形だ。

 もちろん、初めは看護団体からは「看護らしくない」、医師団体からは「患者にとって危険ではないか」といった反対があったらしい。だが、各地でNP養成が始まると、NPの行った医療の質が医師と同等であることや、NPが早期介入することで術後の合併症が減り、入院日数が短縮するといった導入の効果が次々発表された。

この記事を読んでいる人におすすめ