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日経メディカル臨時増刊 unmet medical needs特集転載 Vol.9
【網膜色素変性】眼内のカプセルが神経保護因子を放出
網膜に縫い付け薬剤を硝子体内に浸透させる

2011/01/05
河野紀子=日経ドラッグインフォメーション

 「網膜色素変性は、有効な治療法や画期的な新薬もないまま今に至っており、早期の治療法の開発が求められている」。こう話すのは香川大眼科教授の白神史雄氏。

 網膜色素変性は、網膜の視細胞が徐々に変性、死滅していく疾患で、初期の徴候として、「暗い所で見えにくい」(夜盲)との訴えが多い。視野が狭くなり、失明に至ることもある。進行のスピードは様々で、30歳代から視機能が低下し始める患者もいれば、70歳代でも視力良好の患者もいる。わが国の患者数は、4000~8000人に1人といわれている。

 網膜色素変性に対する治療としては、これまでビタミン剤暗順応改善薬であるアダプチノール、循環改善薬の経口投与が行われてきた。だが、これらの治療には疾患の改善や進行の抑制に関する明らかなエビデンスが得られていない。

 近年、カルテロイドの一つであるルテインとビタミンAの内服の併用が進行を抑制するとの報告が米国ハーバード大から発表された。著者は3~10年分の進行を遅らせたと結論付けているが、「著明な効果とは言い難い」(白神氏)。

 一方で、網膜色素変性の発症には、視細胞や網膜色素上皮細胞に特異的に働く遺伝子が関与しており、これまでに数多くの原因遺伝子が報告されている。こうした遺伝子の日常臨床への応用をめぐり、海外では様々な治療が試みられている。

微小カプセルを1~2年留置
 中でも注目されているのが、視細胞の変性や死滅を抑制する神経保護因子に着目した治療薬の開発だ。

 神経保護因子として、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)やCNTF(毛様体神経栄養因子)、PEDF(色素上皮由来因子)などが明らかにされ、視細胞の変性を抑制する機能を有することが分かっている。

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