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本誌連動◇こうして防ぐ!手術部位感染 Vol.3
【予防的抗菌薬】術前投与は定着、終了時期は2~3日をめどに

 従来は、予防的抗菌薬は術後から投与を開始し、1週間程度続けるのが一般的だった。だが、SSIは術中の汚染が原因であり、本来は手術開始時から創閉鎖2~3時間後まで抗菌薬の有効血中濃度を維持しておくことが重要だ。長期投与は耐性菌を増やすだけでなく、医療経済面からも問題視されている。

 CDCをはじめとした欧米の指針では、基本的に執刀前1時間以内に投与を開始し、終了は術後24時間以内を推奨している。長時間手術や出血の多い手術では、血中濃度を維持するため追加投与が必要になる。

 「国内でも、執刀前1時間以内に投与するのが主流になった。ただし、投与期間についてはそのまま欧米の方法を取り入れることに抵抗がある医師が多いようだ」と三重大先端的外科技術開発学の小林美奈子氏は話す。前出の日本外科感染症学会の調査でも、大腸手術の場合、抗菌薬を1週間以上投与するケースはなくなっているものの、術後2~3日間の投与が75%を占めた(図3)。

 その背景として小林氏は、「術後2~3日は熱が続くため、抗菌薬を中止しづらいからではないか」と話す。さらに、国内では侵襲の高い手術やリンパ節郭清を行うなど、手術法が異なる。抗菌薬投与により、SSIだけでなく遠隔感染も抑えようという考え方もあり、欧米と同様には考えられない事情もある。

 実際、国内の「抗菌薬使用のガイドライン2005」では、清潔手術では術後2日以内、準清潔手術では4日以内の投与期間を原則としている。

 ただ、術後の投与期間については、今でも一定した見解はない。関西地区20施設でのSSIサーベイランスによる成績では、抗菌薬投与日数が術当日までと術後2~4日で、SSIの発生率に大きな差はなかった(図4)。調査をまとめた豊中市立豊中病院(大阪府)外科医長の清水潤三氏は、「自院の消化器外科では05年から、既に術後の抗菌薬投与は基本的に不要としている」と話す。

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