診断基準では、腹囲の基準は男性85cm、女性90cmとなっている。この数値は、日本肥満学会が肥満症を定義する際に、内臓脂肪が100cm<syp>2に相当する腹囲として決めたものを採用した(Circ J 2002; 66:987-92.)。しかし、この基準、特に女性が90cmであることについては、以前から疑問が呈されている。単純に考えても、女性は男性より体格が小さいのに、なぜ腹囲基準は女性の方が男性より大きいのか、納得できない人も多いだろう。
12のコホート研究を統合
厚生労働省「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」班(研究代表者は東大糖尿病・代謝内科教授の門脇孝氏)は、端野・壮瞥町研究や久山町研究など、わが国の代表的な12のコホートを統合して解析した。対象は、40~74歳の男性約1万7000人、女性約1万9000人。
横断的研究の結果、心血管疾患の危険因子(血圧高値、脂質異常、血糖高値)の数は、腹囲が大きくなるほど増えていた(図2)。危険因子の平均数が1を超えるのは、男性では80~85cmから、女性では85~90cmからで、現行の診断基準に合致した。
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