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特集●中医協委員・関係者が語る「2010診療報酬改定」 Vol.2
調整役不在で診療所が犠牲になった
前日本医師会常任理事 藤原淳氏

──昨年秋、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員から外れたが、議論を外から見ていた感想は。

藤原 新しい委員は政府に選ばれており、民主党を含めて各方面の声を気にして思ったような意見が言えない状況になっていたのではないか。私から見れば、迫力に欠ける議論だった。

 今回は診療所の再診料の引き下げが大きな焦点になったが、基本診療料のあり方をどう考えるかといった本質的な議論がなされず、最後の最後まで何点にするかという綱引きだけになってしまったのは、納得できない。

 今改定では、入院と外来でそれぞれ4400億円、400億円とプラス財源の枠がはめられた。このこと自体が大きな問題ではあるが、その中で中医協委員が議論せざるを得なかった状況は理解できる。とはいえ、再診料の話が後回しにされたため、結果的に割を食った面があるのは否定できない。再診料は、医療機関、特に診療所の経営を支える重要な点数だ。日本医師会の委員がいれば、再診料の議論が最後になるような事態は避けられた可能性もあり、結果として引き下げにはつながらなかったかもしれない。

再診料が病診同一である必要はない
──再診料の病診統一という考え方に対する意見は。

藤原 厚生労働省によると、病院の場合、入院基本料にホスピタル・フィーの意味合いを持つイニシャルコストが含まれているという。一方で診療所はどうか。私は初再診料に含まれるという解釈になると思う。そう考えると、今回病診で統一された再診料は、病診で別の考え方をするのが当然という見方もできる。

 また、限られた財源を配分するという点からすれば、点数設定の方向性を考える上で、病院と診療所の間で利害関係が生じる可能性はある。今の中医協で診療所を代表する医師は安達秀樹氏1人であり、診療所に配慮した議論が進んでいくとは思えない。

 さらに、診療側委員は、各診療科のバランスを考えて、責任を持って発言すべきである。病院と診療所の関係や診療科間の差異を踏まえ、様々な主張を包括しながら話を進めていけるのは医師最大の団体である日医しかないと思う。日医の代表が中医協に参加するという、あるべき形に戻すべきである。

──今回の改定での内科診療所への影響は。

藤原 日医で試算してみたところ、再診料はマイナス85億円程度、外来管理加算についてはプラス66億円。新設の地域医療貢献加算は、厚生労働省は内科診療所の3割程度が算定するだろうとみているが、全体で90億円。そのうち38億円を内科診療所が占めるとみられる。

 デジタル映像化処理加算の廃止、電子画像管理加算の引き下げといった画像診断の部分では、若干プラスになるかと思う。ただし、アナログ撮影の引き下げによる影響額は算出していないため、そうした設備の診療所がどの程度のマイナスを受けるかはまだ把握できていない。

 全体として、内科診療所ではプラスマイナスゼロという捉え方をしている。

──2008年度に導入された外来管理加算の時間要件(いわゆる5分ルール)が廃止される影響をどう考えるか。

藤原 日医としては2010年度改定までの撤廃を目指していたので達成できず残念だったが、廃止については評価したい。

 保険者サイドからは、時間要件がなくなり、算定回数が5分ルール導入前の水準にまで戻るのではないかと懸念する声も聞かれるが、それはないだろう。患者からの要請で、症状の簡単な確認だけで継続処方する場合には算定できないことが明記されたからだ。

 ただし、これでは「外来管理加算を算定しなければ、無診察投薬をしてもよい」という、いわゆる"お薬受診"を肯定した読み方もできてしまう。こうした表現を厚生労働省が盛り込んだことについては、非常に遺憾である。

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