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特集●中医協委員・関係者が語る「2010診療報酬改定」 Vol.3
改定内容には合格点がもらえるのでは
中医協委員(全日本病院協会会長) 西澤寛俊氏

――今回は、政権交代後の初の診療報酬改定だった。答申がまとまるまでの半年近くの議論を振り返って、どのようなところに従来との違いを感じたか。

西澤 まず、中央社会保険医療協議会(中医協)委員の改選が議論に大きく影響した。これまでは日本医師会(日医)から3人の委員が選出され、彼らは組織としての機関決定を汲んで議論していた。ところが新たに選出された3人は、機関決定を汲む必要がなく、診療報酬の細かい点数や項目にこだわるより、各自の考えている「医療はこうあるべきだ」という方向で意見を述べていた。こうした議論ができたことは非常によかった。診療側はいいチームだったと思う。

――改定内容についてはどのように考えているか。

西澤 医科本体だけ見れば4800億円のプラス改定。絶対額が前回より大きかった分、ストレスは少なかった。とはいえ、入院4400億円、外来400億円と、プラス財源の配分に枠が設けられた点はやりにくかった。こうした枠を設けず、自由にやらせてもらえれば、へき地や2次救急など、重点項目には入っていないが医療崩壊しているところにも柔軟に点数を付けられたと思う。

 ただ、決められた枠内での配分という点では、合格点をもらえると思っている。例えば重点項目に挙げられた救急、産科、小児科、外科などの急性期入院医療には4000億円を充てることになっていた。その中で救急の後方支援という機能に着目し、有床診療所や病院の療養病棟が算定できる点数なども新設した。有床診療所一般病床初期加算(1日100点、7日以内)や救急・在宅等支援療養病床初期加算(1日150点、14日以内)がそれだ。これらの点数には、急性期医療の4000億円の財源が使われる。

15対1病棟の機能の整理は次回の議論の焦点
――今改定は、病院へどのような影響を与えるか。

西澤 まず、特定機能病院のように産科、小児科、外科を持ち、3次救急も担っている大病院の収入は大幅に上がる。一方、それ以外の中小病院、民間病院は、病院が何をやっているか、すなわち病院の機能によって影響が異なると思う。

 地域のニーズを汲み取り、それに応じた医療を提供する体制を整えることが重要だ。今改定は、これまでやってきたことに加え、急性期機能の充実や大病院との連携など、何らかの努力をしないと収入が伸びない仕組みになっている。提供する医療の質を上げ、機能を明確化し、地域の医療機関と連携することがポイントになるだろう。

――入院時医学管理加算は、総合入院体制加算に名称が変更されたが、算定要件は変わらなかった。

西澤 入院時医学管理加算については、前回改定で要件が大幅に変更されて救急、産科、小児科などを持つ総合病院のようなところが算定できる点数になり、今改定で名称が変更された。診療側は前々回まで算定できていた病院を救えるようにと主張したが、改定内容に反映してもらえなかった。実際、定められた財源の枠内では難しい面があった。

――15対1の入院基本料については、引き下げられた。

西澤 要望していた入院基本料の底上げは実現しなかったが、14日以内に限っていえば、一般病棟入院基本料の加算は428点から450点に引き上げられた。15対1の場合、入院基本料は954点から934点に引き下げられたものの、14日以内だけで見れば2点アップしている。

 今改定の議論の過程では、15対1病棟に90日を超えて入院している患者全員を対象に、療養病棟と同じように医療区分・ADL区分を用いた報酬体系を導入することが提案された。これに対して診療側は、15対1病棟は急性期であり、療養病棟の報酬体系は慢性期のものであり、なじまないと主張した。今回は見送られたが、在院日数が非常に長い15対1病棟もあり、次回改定では間違いなく15対1の機能の整理が議論の焦点になるだろう。

 もちろん、ひとくちに15対1病棟といっても、地方で看護師が確保できず結果的に15対1しか算定できない急性期病院もある。そうした病院に対しては、地域特性を考慮することが必要だ。どのように地域特性を考慮するか、今のところ具体案はないが、早急に検討する必要がある。

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