
京都府医師会会長の森洋一氏の立候補により、日医の会長選は、現職の唐澤祥人氏、民主党とのパイプの太さをアピールする茨城県医師会会長の原中勝征氏との三つ巴の争いになった。
京都府医師会会長の森洋一氏は2月1日に会見を開き、4月1日に行われる日本医師会会長選挙への立候補を正式に表明した(関連記事:2010.01.29「京都府医師会の森会長が立候補を表明」)。
同日の会見で森氏は、「日本医師会は本来、政治に左右されない専門家集団であるべきもの。そうした組織への再編を目指す」と意気込んだ。自民党とのパイプを強調した現日本医師会会長の唐澤祥人氏、民主党とのパイプを強調する茨城県医師会会長の原中勝征氏との姿勢の違いを明確にした格好だ。日本医師会会長選には既に、3選を目指す唐澤氏、茨城県医師会会長の原中氏が立候補を表明しており、候補者はこれで3名となった。
立候補の理由について森氏は、「現在立候補を表明している2名では選択肢がないという会員に対して第三の道を示すため、立候補を表明した」と説明した。最終的に決断をしたのは1月に入ってからで、1月15日の近畿医師連合会の委員会で会長選立候補の意思を明らかにした後、1月28日の京都府医師会でも立候補の意思を表明し、京都府医師会では満場一致で推薦が決まったという。近畿医師会連合は2月12日の委員会で推薦を正式に決定する予定だ。
「私は日医会長の肩書きがほしくて立候補したわけではない。医師会が本来の組織として機能するためには再編が必要であり、その再編を進めるために会長に立候補した」と森氏は主張。「医師会活動は本来、地域の会員の声を集約し、医療や社会保障制度をより良いものにして国民の健康を守る集団であるべきもの。しかし現状はそうなっていない」と続けた。森氏は、今いわれている“医療崩壊”が、小泉政権下で始まった社会保障費2200億円の抑制だけでなく、医師養成数の削減、新臨床研修制度の実施など複数の要因によるものとの見解を示した上で、そうした重要な施策がその場その場で決められてきてしまったこと、施策の策定に日医が十分に関与してこなかったことを問題視した。また、小児科医の立場から、新型インフルエンザの流行やワクチン接種などで医療現場が混乱を来たした際の日医の対応が不十分だったとも指摘した。