
図4 保湿剤は炎症の再燃までの期間を延長
アトピー性皮膚炎の治療で、ステロイドやタクロリムスによる免疫抑制療法とともに重要なのが、保湿剤によるスキンケアだ。保湿剤は皮膚のバリアー機能を高め、結果としてステロイド外用薬の使用量を少なくすることができる。
そんな保湿剤の有用性を裏付けるエビデンスも出てきている。東京女子医大皮膚科学教授の川島眞氏らは、皮膚科診療所3施設で治療を受け、炎症が沈静化したアトピー性皮膚炎の患者65人を対象に、保湿剤のヒルドイドソフト塗布群と無処置群に無作為に割り付け、炎症の再燃の有無や再燃までの期間などについて、6週間観察した。その結果、保湿剤塗布群では無処置群に比べて、再燃までの期間を有意に延ばすことができた(図4)。
試験に参加した新宿南口皮膚科(東京都新宿区)院長の乃木田俊辰氏は「保湿剤をしっかり使うだけでも維持期間が長くなり、良好な状態にコントロールすることができた。エビデンスでそれを具体的に示せたことは意味がある」と話す。