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特集●ステロイドだけじゃない! タクロリムス軟膏による酒さ様皮膚炎 Vol.2
何げない適応外処方、説明不足がトラブル招く
(12/9訂正)

 これまでステロイド外用薬の使用時にしか生じない思われてきた酒さ様皮膚炎が、タクロリムスの外用によっても起こりうることが明らかになってきた。

 東京医科歯科大皮膚科准教授の佐藤貴浩氏らのグループも、2007年11月の日本アレルギー学会秋季学術大会で、同科で経験した、タクロリムス軟膏によると考えられる酒さ様皮膚炎の3症例について発表した。いずれもタクロリムスを中止し、ミノサイクリン内服などで治療した結果、比較的短期間のうちに軽快した。

 興味深いのは、副作用を起こした患者はいずれも、アトピー性皮膚炎の患者ではなかった点だ。

 タクロリムス軟膏の添付文書上の適応症はアトピー性皮膚炎だけだが、この3人は、大学病院を受診する前に受診していた医師の下で、脂漏性皮膚炎や接触性皮膚炎の疑いで同薬を処方されていた。佐藤氏は、「大学病院に来る前にどのような治療を受けていたかについては、必ずしも正確に把握できないが、アトピー性皮膚炎でなくても、様々な顔の皮膚トラブルに対して、ステロイド以外の選択肢として、タクロリムスが適応外使用されているケースが少なくない」と話す。

 また、東京医大皮膚科助手の入澤亮吉氏は、「タクロリムス軟膏による酒さ様皮膚炎は、アトピー性皮膚炎のような皮膚が乾燥気味の人よりも、ニキビができやすいなど、どちらかといえば皮膚が脂っぽい人に多く見られるようだ。また、数カ月以上にわたって長期に使用している人に起こりやすい印象がある」と語る。

漫然とした使用の背景に医師の説明不足
 どんな薬であっても、使用する際は、その目的や使い方(およびやめ方)を、患者にきちんと説明しておくことが必要だ。説明が徹底していないために、漫然と使用され、その結果として新たなトラブルを招くことが起こり得る。タクロリムスによる酒さ様皮膚炎の副作用についても、背景に医師(特に初診時)による薬の説明不足があるように思えてならない。

 千葉市で皮膚科を開業する中村健一氏は、『皮膚科医直伝 皮膚のトラブル解決法』(医学書院、2007年)の中で、「皮膚科は初診時の説明がすべて」と強調している。

 例えばステロイドを外用する際は、単に「この薬を塗っておいてください」で済まさず、「あなたの病気は○○です。このお薬は今の症状を一時的に良くするだけで、外用しても根本的な治療にはなりません。ただ、使用すれば、ある程度良い状態を保てます。連続外用は1週間程度にしてもう一度診察させてください。その際、状況に合わせて別の薬に変えることもあります」などと、きちんと説明するようにしているという。

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