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本誌連動◇在宅医療 新時代 Vol.2
肺炎を繰り返させないためには
制約の中でベターな対応を

「在宅医療では行える検査は限られる上、検査結果が出るまでにも時間がかかってしまう。まずは直感を磨くことが重要だ」と話すあおぞら診療所の川越正平氏。

 在宅療養を行う高齢者には、常に肺炎のリスクが付きまとう。一般の市中肺炎と大きく違うのは、在宅高齢者の場合、全身状態の悪化から肺炎を発症してしまうことが多く、抗菌薬治療を行っても繰り返しやすい点だ。さらに、自宅では、病院と同様の検査や治療は行えない。

 まず治療に関しては、制約がある環境の中でベターな方法を選択することを意識する必要がある。例えば、点滴で抗菌薬投与を行うにも、訪問時間が限られる中では、1日複数回の投与は難しい。起炎菌も広範囲にわたり同定できないので、多くはエンピリックセラピーを行うことになる。

 そのため、抗菌薬は抗菌スペクトルがより広く、血中半減期が長いものが使われる。あおぞら診療所(千葉県松戸市)院長の川越正平氏がよく使用するのは、セフェム系抗菌薬のセフトリアキソン(商品名ロセフィン)だ。血中半減期が8時間と、ほかの抗菌薬より圧倒的に長い上、胆汁排泄型なので腎障害時にも使用できる。半減期が約4時間のセフェム系薬セフピラミドセパトレン)も使いやすい。これらの点滴は、訪問看護師や医師が訪問した際に、1日1回行うことになる。

 明らかに誤嚥性肺炎や重症肺炎だと判断した場合、一時的に絶食として点滴管理することになるが、「在宅では、医療スタッフが付き添っていなくても続けられる皮下輸液が管理しやすい」と川越氏は話す。

 診断についても、困ったらすぐにレントゲンといった手段はとれない。そのため、日ごろから肺音などの「いつもの所見」を把握しておき、わずかな変化にも気付くようにしておきたい。

 こういったように、在宅では本格的な治療は行えないため、医師には、状況に応じて入院させるか家で診るかの選択が迫られる。その際に必要な視点は、「重症度だけで判断せず、療養環境、本人や家族の意思も尊重して総合的に考えること。実際は病状より周辺事情で決まることもけっこう多い」と川越氏。

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