2014年の水痘ワクチン定期接種化に端を発する帯状疱疹の増加が、顕在化している。中でも、20歳代から40歳代の若年層で発症率が顕著に上昇していることが最新の疫学調査で明らかになった。一方、50歳代以上の予防戦略としては、2020年1月に発売されたサブユニットワクチンが選択肢として新たに加わった。
帯状疱疹は、過去に水痘(水ぼうそう)に罹患した人が、体内に潜伏する水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再燃によって発症する疾患だ。水痘に罹患すると、体内ではVZV特異的な細胞性免疫が誘導されて一度治癒するが、VZVは知覚神経節に潜伏する。加齢、疲労、ストレスなどがきっかけとなり細胞性免疫が低下すると、VZVが再活性化し、神経の支配領域に限局して皮疹が出てくる。国立感染症研究所のデータによれば、成人の約9割がVZVに既感染で、帯状疱疹の発症リスクを抱えているとされている。
帯状疱疹でやっかいなのが、50歳以上の患者の約2割が悩まされるという「帯状疱疹後神経痛(PHN)」※だ。鎮痛薬や抗うつ薬などの薬物療法、神経ブロック療法などが行われることになるが、長期間、強い痛みに悩まされるケースも少なくない。高齢者や帯状疱疹の重症度が高いほどPHNが起こりやすいとされる。
※急性期の痛みと慢性期の痛みをはっきり分けることが難しいことから、最近は帯状疱疹関連痛(ZAP)と呼ぶことも増えている。
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