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解説◎ブタの抗体陽性率上昇で全国の自治体が警鐘
日本脳炎は過去の病気ではない
予防接種率の低い「1995~2006年度生まれ」では特に警戒を

 この9月に、千葉県で1990年以来、25年ぶりの日本脳炎患者が確認された。患者は0歳男児で、生命に別条はないが入院加療中という。国の感染症流行予測調査によると、千葉県内のブタから、最近感染したことを示す抗体(2ME感受性抗体)が検出されており、患者の発生時期と一致していた。この抗体は他の自治体のブタの調査でも検出されており、各自治体では患者発生への警戒を続けている。

 千葉県内で確認された日本脳炎の患児は、8月18日から発熱があり、同月21日に意識障害、脳神経麻痺で、旭市内の医療機関を受診し入院となった。原因不明の急性脳炎として医療機関から千葉県衛生研究所に相談があり、同研究所で検査を行ったところ日本脳炎ウイルスが検出された。その後、銚子市内の保健所に届け出があった。保健所にて感染場所など感染経路の調査が行われたが、「感染場所は県外でないことが分かったが、詳しい感染経路については結論に至らなかった」(千葉県)という。

 患者は今のところ1例だけだが、感染源・感染経路などが明らかになっていないため、県としては引き続き「肌の露出を控える、虫除け剤を使用するなど、蚊に刺されないように注意するよう」求めている。また、「日本脳炎の予防にはワクチンの予防接種が有効」とし、ワクチン接種の呼び掛けを強化する意向だ。

 国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子氏は、「医療関係者の中にも『日本脳炎は過去の病気』と思っている人がいるが、決してそうではない」と話す。日本における日本脳炎患者の報告数は、1950年代には小児を中心に年間数千人という記録があるが、その後減少し続け、最近では年間数件に落ち着いている(図1)。しかし、これは「日本脳炎ワクチンの普及によって、日本脳炎の発症者が低く抑えられているからという点を忘れてはならない」(多屋氏)。

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