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2014/15シーズンのインフルエンザ診療の要点(後編)
pdm09の耐性化、臨床への影響は限定的か

2015/01/13
河合直樹 河合内科医院(岐阜市)院長、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長
池松秀之 日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 リサーチディレクター
柏木征三郎 国立病院機構九州医療センター名誉院長

 昨シーズン当初、AH1pdm09においてH275Y変異によるオセルタミビル耐性ウイルスが札幌など北海道や本州の一部地域で見られたが、シーズン後半にはこの耐性ウイルスはほぼ消え、国立感染症研究所の発表では昨シーズン全体の全国における耐性化率は4.2%と、09/10シーズン(1%)、10/11シーズン(2%)よりも若干高い程度にとどまった。

 我々の検討でも、AH1pdm09の耐性化率は前シーズンと大差なく、AH3亜型、B型の耐性変異も認めなかった。このH275Y変異AH1pdm09ウイルスの地域流行は、13年の国内での報告以外には、11年にオーストラリアのニューサウスウェールズ州で、13年に米ルイジアナ州でも報告されていた。ただし、流行した変異株の遺伝子配列は異なり、薬剤投与と無関係なケースが多く、いずれも大きく広がらずに消失している。

pdm09耐性化は限定的か
 08/09シーズンに世界中でAソ連型(AH1亜型季節性)の100%がH275Y変異してオセルタミビルに耐性化した際には、前年、欧州各国で高頻度の耐性(ノルウェーで耐性化率約70%)が報告されたが、現時点ではこのような国全体に及ぶ高率の耐性化の報告はない。また今冬には、以前のソ連型のように世界中で耐性ウイルスが大流行する徴候もない。

 AH1pdm09でH275Y変異が見られるとオセルタミビルの感受性が数百分の1に低下する(ノイラミニダーゼ活性の50%阻害濃度であるIC50が数百倍上昇)と報告されているが、臨床的に同剤の効果がどの程度減弱するかは明確ではない。

 08/09シーズンに同じAH1亜型であるソ連型が全てオセルタミビルに耐性化した際に、我々が報告した論文4、5)では、小児全体ではオセルタミビルの効果は減弱したものの個々には有効例も多く、また成人の多くでは本剤の効果はほぼ保たれていた(図5)。

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